PiPi's World 投稿小説

性徒憐(リン)の日常
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 39
 41
の最後へ

性徒憐(リン)の日常 41

「乾燥機に入れとくから、一時間位したらおいで」
「はぁい、先生。……ほら、行こうぜ!憐も!」
美規は、あたふたと他の二人を廊下に押し出し、私の腕を引っ張った。
「……あ」
戸惑いながらも廊下へと連れて行かれる。
振り向くと、冴子先生が怪訝な顔を浮かべているように見えた。

「ちょっと……美規ぃ」
美規は私の腕を掴んだまま、ずんずんと先を歩いた。
それを追う二人の少女が意図が分からずに声をかける。
「どおしたのさぁ……」
「美規ってばぁ……」
更新は唐突に終わり、真っ赤な顔で美規は振り返った。
「と、取り合えずさ、一時間くらいしたらスカート乾くらしいんだ!それまで待ってなきゃだし、二人ともバイトとかバスの時間あるから、先に帰っていいよ!」
二人は少し呆気にとられながら、美規と憐の顔を見比べたが、何かしら美規の気持ちは察したらしかった。
「……うん、あたしバイトだけど、8時には家にいっから……」
「なんかあったら、連絡してよ……!」
バタバタと二人は廊下を駆け出して行った。その後ろ姿を見つめながら、美規は小さく息を吸った。
「なぁ、憐、あんたさ」
美規は憐の顔を覗き込むようにして、問いかける。
「なんで、こんな事してんの?」
「え」
憐は美規の言葉に面食らった。美規の「こんな事」が何を指しているのか見当がつかない。
自分がこうして学校に通っている事も、「こんな事」のような気がしていた。
制服に着替える時も、食事をする時も、気が付けば体と心は離れ、空っぽの自分を眺めているような気持ちになる。
そんな虚ろな自分の姿と比べれば、美規の瑞々しい姿が現実離れしたように見える。
自分と同じ制服を着ているのにも関わらず、美規は色鮮やかで、彼女の健康的な肌色や、生き生きとした血色の唇に惹き付けられる。
「こんな……って?」
「……なんか、色んな事、全部」
美規は不機嫌そうな表情で、ポツリと言う。
「来なよ。いい場所あるからさ」

美規は購買部の横にある自販機で紙パックジュースを買い、校舎の奥にある非常口の扉を開けた。
そこは学校の裏手が一望できる場所だった。広い空と裏山が広がる。
「いい場所だろ?」
ピンクの紙パックジュースを憐に渡すと、美規はもう一つの紙パックにストローを刺して飲み始める。
憐もそれに倣うように、渡されたジュースに口をつける。
「……美味しいね」
甘いイチゴの味が広がる。
「……だよな」
憐は頭上に広がる青空を見上げた。
「空が、広い………」
「うん……」
風が吹いて木々がざわめく。虫の声。鳥の羽ばたき。
流れていく白い雲。
(あの雲は、どこに流れていくの……)
「遠いね……」
「……案外近いかもよ」
「なら、いいね」
憐の呟きに美規は答えながら、二人は空を眺めて過ごした。美規は何かを聞こうとはしなかった。
憐は隣にいる美規が遠くなったような気がしていた。ついさっき、教室でセックスしていたのに。それが夢のように思えてくる。


,
の最初へ
 39
 41
の最後へ

SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す