学園ご意見所X 2
そんなわけで始まった私の高校生活だが、「合格した日に元用務員にレイプされた子」といううわさはあっという間に広がるもので、それが原因なのか私はクラスでは浮き気味なのである。そんな私の唯一の拠り所がまさに愛華センパイで、入学した日から私を見つけ声をかけてくれて、こんな活動も始まってはやひと月ちょっと。愛華センパイは学園のミスオブミスだけあって友達も多くて、恐れ多くも愛華センパイのクラスメートの方からも可愛がられている。
「ヒナちゃんを襲った男は小松台(私たちの通う高校です)の用務員として20年以上働いていたそうよ」
「はあ」
「勤務態度は至ってまじめ。ただ、あまり周りとはコミュニケーションは取っていなかった。そいつの裏の顔ってのが」
「強姦魔、だと」
「20年で被害者は延べ46人いたらしいの」
「アイドル作れますね………ってそんな話じゃないか。私もその一人なんで」
「そう、実際アイドルいるのよね」
「へっ!?」
「真瀬淳子ってしってるでしょ」
「え、あぁ、あの、女優の。その人が何か」
「実はね、彼女もこの46人の被害者の一人。ここのOGなのよ」
「マジっすか」
「で、そんな有名人が被害に遭いながら・・・何故今まで表沙汰にならなかったんですかね?」
私の問いに愛華センパイは「そこなのよ!」とビシィと虚空を指差しながらやや自慢げにポーズを決める。
最初はこのポーズにビックリしたけど、最近はこれが無いと愛華センパイでない気までしてくるぐらい見慣れてきた。
「あの元用務員は、究極のアゲチンなの!」
「ふへっ?!」
腰に手を当てて言ってやったぜ的になってる愛華センパイと、若干どころでなくかなり訳の分からない私。
勿論、そんな私に愛華センパイは説明してくれる。
「被害者の内、43名のその後だけど・・・真瀬さんを始めとして、皆色んな世界で成功してるの」
「えっ?!、それは元用務員がそんな子ばかり狙ってるんじゃ?」
自分でそう言いながら、私はどうなんだと自問してしまった。
考えなくても私は、何も特殊な能力は持っていない。
「確かにそう言いたくなるのも分かるけど、襲われた子は当時みんな一見ぱっとしない子ばかりだったのよ」
納得。
自分で言うのも何だけど、私もぱっとしない。
襲われた46人の中で唯一活躍しなかった子と言われても、自分でも納得してしまうぐらいぱっとしない事には自信がある。
「ヒナちゃんは脱げは凄いじゃない!」
「あぁ、まぁ・・・でも不便ですし」
見た目小学生と言われるぐらい背の低い私だけど、胸だけは無駄に大きい。
無駄に大きいと言う表現しかした事が無い私の胸は、確かに愛華センパイより大きいけどトータルバランスがこれだから、本当に無駄な大きさだ。
中学時代から爆発的に大きくなったせいで下着の替えが追いつかず、揺れて動くのに邪魔だからサラシ巻いて固定してた癖に成長が止まらない厄介者だ。
それでもサラシ巻いてるせいか、あんまり巨乳イメージを持たれずに済んだ。
それなのにあの元用務員は、私の事を脱がす前から「小さい癖にたまらん爆乳」って言ってた。
やっぱり愛華センパイが言う通り、何か特殊能力とかあったりしたんだろうか・・・
「きっとヒナちゃんのこのおっぱいは、世界を制するわ!」
「いや、あんまりそれは嬉しくないです」
おっぱいで世界をってAV女優で成功とかだろうか・・・
それはあんまり嬉しくない。
ただ、こうやって愛華センパイに身体を密着されておっぱい揉まれるのは嫌じゃない。
「あれ・・・この『西浜ひなのの奇跡の爆乳を徹底調査してください』って霧香センパイの字ですよね・・・普段から触りまくってるし、奇跡でもないし!」
この字は、「おはおっぱい」って言いながら揉んでくる江越霧香センパイのものだ。
特徴的過ぎて丸わかりだ。
霧香センパイはスタイル抜群、オマケに美人の陸上部のエースで、走り高跳びの超高校級の選手だ。
愛華センパイの親友の1人でもある。
と言うか、愛華センパイの周りは美女揃いだから、愛華センパイの側にいるのが気が引けてしまう事が多い。
「霧香はヒナちゃんがお気に入りみたいだけど・・・残念だけど、私が予約済みだから」
そんなことを耳元で囁かれ、愛華センパイに背後から胸を揉まれる。
「ひゃうぅぅ」
「ヒナちゃんは誰が見ても可愛いんだもの、もっと自分に自信を持つべきなのよ」
「そう言われましても……ひゃぁあぅう」
なんか耳元に愛華センパイの息が。あぁ、今日はスキンシップがいつもよりお強いような気が。
「あらぁー、お取込み中?」
「ひゃっ!?アンリ先生っ!?ノックくらいしてくださいよっ!」
「いやまあ、戸松っちゃんが西浜さんにぞっこんなのはいつものことだからねぇー」
やってきたのは浅間杏璃先生。
私のクラスの担任。26歳独身彼氏なし(愛華センパイ調べ)。
ちょくちょく半分物置みたいな「学園諜報部」の部室に来るのだが、その理由はクラスでぼっち状態の私を心配して、とのことで。