憧れの先輩はいろいろヤバい 1
「………………」
視界いっぱいに広がる真っ白な天井。
いったい、どうしてこうなったのだろうか。
僕、遊佐春秋(ゆさ・はるあき)は誰もが憧れる美少女生徒会長の川原木希海(かわらぎ・のぞみ)先輩に、仕事を手伝ってほしいと言われて生徒会室にやってきた。
そのはずなのに、川原木先輩はいきなり僕を押し倒し馬乗りになって―もう意味不明である。
「あ、あの、せんぱ――んぐっ」
「…さくん」
いったい何がしたいのか伺おうとすると、先輩は突然僕の口を塞ぎ、うわ言のように呟きだす。
「遊佐くん遊佐くん遊佐くん遊佐くん遊佐くん遊佐くん遊佐くん遊佐くん遊佐くん遊佐くん遊佐くん――――――――――――っっ!!」
突然僕の名前を連呼し始め、しまいに、唇を重ね貪り始めた。
先輩の長い黒髪が顔面を覆い尽くすようにかかってくる。
抵抗する間もなく咥内に先輩の舌が侵入し思考をいろいろ停止させる。
憧れだった先輩、美少女生徒会長は普段のツリ目を垂れ目に変え蕩けた表情で必死に僕の唇に吸い付いていた。
「んーっ!んーーーーーーっ!!!!」
唇を閉じようと試みたが、いくつかの手段はすでに侵入した先輩の舌を追い出すことはできなかった。
他にも手段はあったがそこまでして憧れの先輩とのキスを拒絶する必要はあるのか、自分の貞操観念と相談を開始した。
「んっ………」
意識が薄れていく気がした。自分がわずかながら声をあげたのか、判断する能力も失せていた。ぼーっとした頭の中で、ただひたすら快楽を味わっていた。貞操観念は死んだ。よく頑張った、僕。
ぬちゃぬちゃと粘膜同士が絡み合う音が生徒会室に響く。先輩の舌は僕のに絡みついて離してはくれない。
「くふっ」
先輩が笑った。喜びの声が漏れた。
先輩が舌を動かすたびに淫靡な音を奏でる。舌を吸われ引っ張られる。先輩が唾液をじゅるじゅると吸う音が生徒会室に響き渡る。
「遊佐くん遊佐くん遊佐くん遊佐くん遊佐くん……春秋くんっ♪」
唇を重ね貪り、いったん離れて僕の名前を連呼し、また唇を貪る先輩。
蕩けた表情で目の前の男子の唇を貪り、名前を連呼する美少女生徒会長。ホラーだ。普通に怖い、怖すぎる。
憧れの先輩が基地外だということに動揺を隠せない春秋は現実逃避のためについ十数分前の出来事を思い出すのであった………・・