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僕らの天使
官能リレー小説 - 学園物

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僕らの天使 3

 僕たちは黙ってお互いの家の方向へと歩き始めた。
 短い時間だと思うが、長く沈黙が続いているような気がして、緊張する。
 何か話題を探さなくては。
 「ね、ねえ、アーニャ」
 「何?」
 「アーニャは、どこの街から来たの?とか聞いてもいい?」
 アーニャは前を向いて口の中で何か言っていた。日本語に訳しているのだろうか?
 「ええと、サハリン州 クリル管区の、イトゥルップ島のクリリスクってところから、来たよ」
 「へえ、サハリンなんだ。近いね」
 サハリンがすごい近いところということは知っている。クリル…クリルって、聞いたことあるような気がするんだけど…帰ったら調べてみよう。

アーニャと並んで歩く。
どこかで別れるのだろうが、今のところそんな気配がしない。
また会話がなくなって沈黙が流れる。

すると、アーニャが僕の手をキュッと握ってきた。

「あ、あの…」
「私、もっと真野くんと仲良くなりたいです」

「え、ええ、僕も…」
アーニャがしっかり僕を見つめてくる。その天使のような可愛らしい姿にドキドキ感が増す。

「今なら時間、ありますから、お家に来ませんか?」
「えっ?」
アーニャの不意打ちのような言葉に思わず変な声が出てしまう。

 緊張した僕は、なんとか時間を稼げないかと頭を回転させたが、あまりいい言葉は思いつかない。
 「ここが私の家」
 「ここに住んでるんだ」
 どこもそうだと思うが、ここも人口減少で空き家は多い。そのなかでも、ひときわ大きく目立っていた空き家に、アーニャと家族は、引っ越してきていたようだった。
 「来てくれる?」
 「うん」
 僕は、意を決してついていった。
 まず通された部屋。鎌と星のような、どこかで見たことある、多分古いマークが飾ってあった。
 そして、アーニャの母国の地図。やはり大きい。その地図上のうちの国がすごく端っこで小さいことを見せつけられているようだった。

「ご両親は?」
「パパはお仕事。ママはお買い物かな」
この広い家に今はアーニャと僕しかいないのか?そう思うとなんかすごい…

そんなことを考えていると廊下をバタバタと駆ける足音がした。

「お姉ちゃん、お帰り!」
アーニャによく似た幼い女の子が2人向こうから走ってきた。
「ナターシャ、エリーチカ、ただいま」

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