僕らの天使 11
高速のエレベーターで一気に最上階へ。
いくつかのレストランがあった。
「なんか、高そうですね」
思わずそう言ってしまうような店構えのレストランが多かった。
「ここならそうでもないよ」
さくらさんが案内したその店は、軽食が中心で気軽に入れる感じだった。まだ11時過ぎで昼前のせいか、窓際に座ることができた。
レストランというよりカフェのような感じのお店だった。
メニューは豊富ですぐにはどれ、と選べない。
「すごくきれい!」
向かいの席に座るアーシャが感動のため息を漏らす。
窓からは僕らの住む街まで見えるくらいすっきり晴れ渡っていた。
「この街だけで、サハリン州よりたくさんの人が、住んでいるんだなあ」
アーシャは、そんなようなことをつぶやきながら、引き続き食い入るように景色を眺め続ける。
「アーシャ、何食べる?」
さくらさんの言葉にアーシャはようやくこちらを向く。
「あっ、ごめんなさい」
アーシャはちょっと照れながらさくらさんから渡されたメニュー表を眺めた。
「さすがにロシアの料理はないみたいだね」
「私、日本食も大好きですよ」
といいつつも、最終的にアーシャが頼んだのはハンバーグ定食だったけど。
「じゃあ、夕飯は日本食にする?」
さくらさんの言葉に、アーシャは
「ハラショー!」
と、答えた。
僕は迷った末、無難にカレーライスにした。
「このあとの予定、アーシャどんな希望だったんですか?」
料理が来る前に僕はさくらさんに聞いた。
男として少しはリードしたほうがいいような気もするが、この場の年長のさくらさんにすっかり甘えてしまっていた。
「このあと、このビルをだんだん降りて、いろんな店を見てみる。それで、タワー辺りまであるいて、通りの公園を散策、そのあと、地下鉄に乗って、H大」