生徒会日和~Second Season~ 2
僕が目安箱の中身を出して仕訳けていると、澪さんが戻って来た。
「もう一つ話があったんだ。忘れてたよ」
「すみません、ちょっと待っててください」
僕は急いで投書をしまい込む。
澪さんは目安箱の中身を見てしまわないように、離れた椅子に座っていてくれた。
「ところでさ、剣道部はどうするつもり?樹くんが募集に立てば一年の女子が集まりやすいんじゃないの?」
「嬉しいことをいってくれますね。でも今は生徒会役員が多く抜けてますからね。手伝えそうな時は行きますけど、無理を言って新入部員募集は昼間だけの参加にさせてもらってるんですよ」
「そっかぁ…実はさ、私のいた中学から剣道の強い双子が入学するらしいって聞いてたんだよね」
「そうなんですか?先輩のいた中学って?」
僕は澪さんから中学名を教えてもらったが、僕にとっては残念ながら名前しか知らないところだった。
「その二人って中学で剣道部だったのですか?」
「そこまでは分からない。校外の道場行ってるかも知れないし」
「まずは、剣道部にも知らせてみようと思います」
「それがいいよ」
澪さんが去って、僕がここでやろうと思っていたことを片付けたあと、僕は剣道部に向かった。
「いよっ!暫定会長!」
「梓さん。今日は剣道部の助っ人ですか?」
剣道部の前でいきなり梓さんに会った。
梓さんは何でもできるタイプだけど、隅々までは見えなていないリーダー候補だ。
剣道部も男子が入っても白い道着に赤い胴やポップな面タオルなど水準が女子校時代のままだし、部員も僕以外は初心者な上に防具もお下げでいいという扱いだ。
そもそも、男子部員を繋ぎ止めてるのもやる気でなく守山先生だったりする。僕も彼女とセックスしたから人のことは言えないけど、先生も日替わりで四人と楽しんでいるのだろう。
「噂の双子について知ってます?」
「特に興味ないな。部活はここだけじゃないし、強くなればここの助っ人はいらないだけで、仕事は他にもあるから」
稽古をさらっと終えると話を振ってみる。
あっさりしてるところがいかにも梓さんらしい。
運動部文化部問わず様々な部の助っ人をしながら状況を把握し時に的確なアドバイスもしてくれる。
非常にありがたい存在だ。
「確か、麻生とか言ったな。なかなか名の知れた強者だぞ」
梓さんのいる反対側から声がした。
女子剣道部の新部長・河原田伶奈さん。
背が高く、立ち姿は凛々しくて絵になるお方。
梓さんとは今年も同じクラスのようだ。
「だったら、この部も安泰ですね」
「お願い!そういう事言わないで」
練習も終わったし、このまま帰れるはずだけど、なぜか彼女に引き止められて気がつくと屋上にいた。
「部活辞める気でしょ、ねえ」
「どうして、そう考えるんですか?それに、僕が抜けたって男子は一人くらい来ると思いますよ」
そんな気はまるでないとは言えない状況だ。別にこの学校の部活にいなくても剣道と関わることはできるし、童貞も捨てれたし生徒会の仕事もある。
「先生には飽きたんでしょ?私だって、ほら…」
「部長、何脱いでるんですか!」
「私の代になって抜けられると、いろいろ都合が悪いの!あのお姉さんの弟だし、梓とも親しい。引き止める努力くらいさせて」
「部長…」
「伶奈でいいわ、好きにしていいのよ」