生徒会のお仕事 13
生徒会の定員は会長がひとりということ以外は特に決まっておらず、選挙での得票数によって副会長、書記、会計が2人だったり3人だったり、まちまちである。
「書記の候補で、私たちと同類…淫魔だって確実に言える子はいたりする?」
「ええ、その辺も調べまして―」
アリアさんの質問に、エリちゃんがサッとタブレットを取り出し手際よくページを開いていく。
「翔哉くんと同じクラスの小鳥遊瑞樹さん」
「えっ」
クラスでは全く目立たない子だけど、確かに得体のしれないオーラがある美少女だ。
「どんな娘?」
アリアさんの質問に、エリちゃんがタブレットの画面を見せた。小鳥遊さんの顔写真が写っている。
いつもクラスで見かける通りの地味な姿だけど、地味さで綺麗さが隠れてる娘だと思う。
「これは……結構なルックスの持ち主ね」
「趣味は園芸で、園芸部員……地味に徹してるのね」
「性格は大丈夫なのかな?」
アリアさんが言うと、沙夜さんも言い、最後に愛梨さんが疑問を出した。
小鳥遊さんの発しているオーラは、一般人にはほぼ感じられない類のもの。
普通人を装うための、幻惑用の物だろうと思っていた。
それにクラスでの様子を見る限り、どうもかなり自分を抑えているみたいだ。
正体を知られたくないのは、この学校の淫魔の娘達に共通するけれど、他の淫魔の娘と比べても、彼女は徹底しているみたいだ。
普段から主張しないのも、口数が少ないのも、おそらく自分の素性がばれないように、と気にしすぎているくらいの徹底ぶりだ。思い出すといろいろ、感じるものはある。
「でもえっろい身体は隠せないもんだな」
「翔哉くんっていつもそんなこと言うよね」
愛梨さんのツッコミを軽くいなしながら考える。
彼女―小鳥遊さんと2人で会って話す機会は作れないものかと。
「誰か、彼女と接点のある人はいるかな?できれば2人で会って話してみたい」
「私の友達が園芸部員ですから、セッティングできないか頼んでみましょうか?」
僕が言うと、エリちゃんが名乗りを上げてくれた。
「それはありがたいね。ぜひ頼むよ」
「わかりました。でも私やその友達も含めて…ってなるかもしれませんけど」
「その時はそれでお願いするよ。無理はしなくていい」
エリちゃんのおかげで、何とかなりそうだ。
窓の外が暗くなりかけている頃合いで、今日の会議は終わりとなった。
エリちゃんが手際良くティーカップを回収して全員分まとめて洗ってくれた。
「お疲れ様」
「また明日ねー」
「はい」
先輩方が部屋から出て行くのを見送って、エリちゃんも帰る準備ができたのを確認して、さあー
「翔哉くん」
「うん?」
「私も、いつか、翔哉くんに………してもらえたら嬉しい、な」