生徒会のお仕事 12
エリちゃんは淫魔じゃないんだし…退魔師の家系だからこういう事にも理解はあるが、見境なく手を出すのはちょっと違う。
アリアさんの冗談に、テンパってしまってる。
「アリアさん、こういう事情を理解してくれてるだけでもありがたいのにそこまで引っ張り込んじゃだめだよ」
「わかってるって。もう、冗談よ」
あきらかにほっと胸を撫でおろして、エリちゃんが一度奥に消えた。
すると愛梨さんが言った。
「やっぱり、選挙も近いし準備しましょうよ」
「私達も、当選できないとこういうことできないし」
沙夜さんも賛成して、そこに。
「翔哉君も大変でしょうし、一度お茶にしませんか?」
エリちゃんが、ティーポットを沸かして待ってくれていた。
「ありがとう」
エリちゃんが手際よく皆の前にティーカップを並べ、ポットからお茶を注いでいく。
テーブルの前にはようやく?生徒会メンバーがそろって座る。
「選挙のことだけど、具体的にはどんな話をしたらいい?」
「私は、あのポスター…ちょっと恥ずかしいな、って…」
愛梨さんは壁に貼られた水着姿の自身のポスターに視線をやりながら、顔を赤らめた。
「やっぱ恥ずかしい?」
とアリアさん。
「私だったら、恥ずかしいかな。でも、すごく綺麗ですよね」
とエリちゃん。
「もっと自信持っていいんじゃないの?」
と沙夜さん。
うちの学校でもなかったら、生徒会選挙のポスターが水着なんて、通らなかったと思う。
自由な校風も、良し悪しなのかもしれない。
僕もあのポスターに賛成した口だから、愛梨さんに申し訳ない気持ちになった。
実際生徒会長である愛梨さんは学園のアイドル的な存在で、人気絶大。
生徒会との関わりの深い退魔師のおじいちゃん先生に聞くと学園の歴史においてもここまで人気な生徒会長ってあんまりいないんだとか…
それと愛梨さんのこのポスター、今生徒会室に貼られたこれはかなりのレアモノであり貴重品である。
選挙公示して校内に貼り出された途端持ち去られた話が相次いだのだ。
選挙妨害と窃盗とで学校内は大騒ぎになったんだ。転売しようとした奴が二人停学食らったし、ポスターを急遽増刷する事と、盗めないようにケースに入れて貼り出す事で落ち着いた。
「選挙に立候補してるの、私達だけじゃないからね。それだけ人気あるのはいい事じゃん」
「もう、沙夜さんは……」
「ごめんごめん。で、立候補締め切り近いよね。どうする?」
愛梨さんが顔を真っ赤にして困ってる。
沙夜さんも、発言の後半はふざけただけだったらしく、すぐに謝って話を選挙に戻してる。
「えっと、会長候補が愛梨さんを含めて3人、副会長候補がアリアさんを含めて4人、会計候補は沙夜さんともう一人で、書記候補が5人立候補していて、私達の陣営ではまだ書記候補が決まってないんですよね」