今日からキミを『管理』します。 50
「これを本部に持って行って次の地図を貰えばいいのね?・・・」
そう言いながら由香里が封筒を開けて中から出てきた紙を見て固まる。
そしてその紙を清華に渡しながらウンザリした顔になる。
「やられたわ・・・」
「・・・ああ、これ・・・そう言う趣旨のゲームなのね」
彼女達の言葉に幸成達も紙を覗き込む。
紙には制限時間が書かれており、過ぎればペナルティ・・・
どうあっても間に合わない時間設定で、既に幸成のグループは1ペナ加算であった。
ウンザリしながらも皆で本部に戻る。
本部ではニンマリした顔のクラス委員長、柳沢涼香が待っていた。
「はい、全体3位でペナルティ1ね」
「やってくれるわね・・・悪辣だわ」
「多少ペナルティがあった方が親睦深めれていいでしょ」
絶対楽しんでるだろと確信できるぐらい涼香の笑顔は輝いていた。
由香里は軽く睨むが、ルール通りゲームは続けるらしい。
・・・と、言う事で新たな地図を貰い探索を再開させる。
但し全員ペナルティで下着姿だった。
他の班の姿は今は見えない。
一行は次の目的地へと急ぐ。
「これって、ペナルティが増えると、一枚ずつ脱いでいくのかな」
つかさが、寒そうに、誰にということもなく言った。
「そうでしょうね。この辺学園で借り切ってるから不審者に見られる心配もないし」
由香里は前から、後ろを向かずにそう言ってさらに足を早めた。
次のポイントは川の中州にあるようだった。
石を伝わっていけば何とか行けそうだが、女子はちょっと躊躇している。
「僕が行ってくる」
幸成が言い出したのは、自分1人が男だからと言うある種の責任感と、下着姿の美少女達に囲まれてる現状から逃れたい一心からである。
思春期の性欲爆発男子からすれば役得以外でも何でもないシチュエーションだが、はっきり言うとこれは逆効果だ。
女子達は肌寒さに眉は潜めるものの、下着姿でうろつく事に恥じらいを感じる様子は無い。
勿論、安全なキャンプ場だからと言うのもある。
だが、一番の理由は彼女達が男の欲望を満たす道具として教育され、むしろいやらしい目で見られる事を誇りと思うようになっている事であった。
つまり、彼女達が恥じらえば役得にニヤニヤしつつも目を逸らせれるのだが、恥じらいがないから逆に幸成の方が恥ずかしくなってしまっていたのだ。
いくら学園に馴染んできたとは言え、まだジロジロと観賞したり触ったりを堂々とできる程には幸成も達観できてはいなかったのだ。
それ故に単独行動で離れたいと言う訳だが、その目論見は由香里の『行くなら全員で』の言葉で塞がれてしまう。
少なくとも彼女は真面目にこのゲームをやるつもりらしい。
幸成達7人は、幸成を先頭に、石を踏みながら中州に向かっていく。
「きゃあ」
一番後ろからの優の声。一堂後ろを向くと、不安定な石にうまく乗れず、石が傾いたことで川に尻餅をつき、全身に水しぶきを浴びた優の姿があった。
ずぶ濡れの優。
温かくなってきたとは言え、水遊びにはまだ肌寒い時期だ。
慌てて幸成が助け起こしたが、優は肌寒さに身震いしていた。
「優、全部脱いで!、佳奈子、替えの下着とタオル取って来なさいっ!」
パパっと指示を出す由香里、直ぐに駆け出す佳奈子。
優は『もう最悪っ!』と言いながら裸になる。
「幸成、優を抱き締めていてあげて」
「えっ?!」
「気の利かない男ねぇ・・・抱き合ったら暖かいでしょ!」
由香里は弛くを睨みながら河原の大きめの石に座らせる。
そこに優がかなり嬉しそうに跨がって抱きついた。
「いいなぁ・・・マナも転んでおけばよかったー」
「時間無いんだからバレバレの事は止めなさい・・・とりあえず残りは捜索するから、幸成は優を暖めてなさい」
羨ましいそうな真奈美の頭をこんと軽く叩き、由香里は皆に促す。
こう言う所は人に命令しなれてるだけはある。
そして他の女子達も平然とそれに従うのだが、幸成だけが違う意味で体温が上がってきていたのだ。