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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 77

理人の顔は緊張で強張り、額からは汗が滴る。それだけこの得体のしれない相手が一筋縄ではいかないと言う証明みたいなものだった。
理人は荒を睨み付けながら距離を保つ。相手の手の内が分からない以上、迂闊に間合いを詰めれなかった。

理人のピリピリした雰囲気に生徒達も息を呑む。息苦しい程張り詰めた空気に皆がまいってしまいそうなその時……
「あら、立花先生……この風情ある砂浜で行うに、余りにも無粋な行いではありませんこと」
表れたのはスーツに身を包んだ長身の女性。長く艶やかに光る黒髪と上質なシルクのような滑らかな白肌、完璧とも言えるスタイルと長い足……美の女神すら、彼女の前では霞んでしまう完全無欠の美しさを誇るこの女性こそ、香港国際学園の理事長にして並ぶ物無き最高峰の能力者、公元主姫その人である。
柔らかな誰しもが引き込まれてしまう笑みを浮かべた主姫は、上品な足取りで近づいてくる。
歩く度に音を立てる砂浜も、彼女が歩いているだけで、まるで砂が歓喜して声を上げたように聞こえてしまうのだ。


「理事長かよ……」
むしろ相手している荒より緊張した表情で理人が呟く。
自分が実力をつけていく度に、彼女の怖さと埋めようがない実力差を思い知らされた苦い過去が理人に緊張を強いていた。
「マタ、女アルか……」
明らかに不満げに言う荒にも、主姫は柔らかな笑顔のままでいた。


「あら、レディファーストと言うのは、男が襲撃に備え女性を盾にする浅ましい知恵だし、男尊女卑も女性に勝てないから身分をはめ込もうとしただけ……そんな身勝手で浅ましい男も、女性の子宮から出でて、乳を貰って大きくなるのに……結局、男を一人前にしているのは、女性の愛じゃなくて?」
柔らかな笑顔のままだが、鋭い舌鋒……それは、理人や男子生徒の心も強烈に突き刺したのだが……
荒は主姫をやや表情を厳しくして見ていた。
本人すら自分の本当の実力を把握できない主姫は、みこととの約束で能力の大半を封印している。
そんな状態でも、『彼』のような者でさえ警戒させるだけの気を撒き散らしているのだ。

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