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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 614

ばごんっ!
吹き飛んだファントムに止めの一撃を放つ、人の良さそうな丸顔に七三分け…学生服に包む躯もどちらかと言えば貧弱な部類の少年。
ばごんっばごんっ!
更に二体、完全に戦闘モードの奴らが跳びかかってくるも恐れる事無く…いや一瞬肩をビクっと揺すりながらショットガンを一発ずつ喰らわせた、どこか弱気な少年。
たんたんたんたんっ!
弾の切れたショットガンを背に回しながら、二挺の9mm拳銃…シグザウエルP220を抜き撃ちで体勢の崩れた二体に速射した。

射撃が下手なのか威力を稼ごうというのか(ビクビクしながら)、ギリギリまで引き付け銃弾を浴びせる。
「…露払いは…」
「任しときぃ!!」
両脇に連れ添う二人…。
物静かな黒服の少女がブッ放すコルト・コンバットパイソンの精確無比な射撃、弾が無くなるなりコートの下から取っ替えひっかえ取り出しては射撃を続ける。
金髪黄色ジャージの如何にもヤンキー娘が振るう日本刀の紫電を纏った斬撃と刺突、ヤクザ映画の様で形は悪いが実戦向けの剣技らしい。
…寧ろ露払いの二人の方が強そうに見えた…しかし…。

その二人の長身の美少女よりも…彼の背中は大きく見えた。
まるで悪意そのものが、彼の前には道を譲らざるを得ないかの様に排除されてゆく。
勇者か聖者か…それとも神か悪魔か?この学園には生徒会長、公元主姫を始めとした人の成らざる魔神の領域がある。
伝説の傭兵部隊と噂される連中や、高ランクの能力を操る剣豪、性と暴力の象徴と呼ばれるテロ姉妹…。
服部優奈は彼の背中に見い出した…あの、おっかなびっくり道を切り開く少年も…彼らと肩を並べる『英雄』なのだと…。

ものの数分の戦闘で『カタ』を付けた少年…そのちんちくりんが夕日を背に受けながら振り返った…。
「帰っていい?」
お連れの二人から激しい足蹴を受け『冗談だってば冗談!?』と…たちまち泣きを入れた。
「た…助かったのか…俺達?」
優奈が錆び付いた様に軋む首を、声のする方に傾けると…あの半熟ヒーローに導かれたのか、逃げ延び落ち延びてきた数十人程の生徒達…。
互いに肩を支え合い、ある者は手製の担架で吐血混じりの息をつきながら丘を越え、開放されたシェルターに向かう。

「ほら…貴女も…?」
一人の女生徒が…包帯を巻いた腕で優奈を抱え起こすと、傍らに居たやはり傷だらけの男子生徒二人が即席の担架を組んで優奈を載せた。
漸くこの学園に訪れた危機も去ったのか、と安堵の溜め息をつく優奈…僅かに暗がり始めた空を見上げる優奈…夜空を滑る蒼い流星に何を願うのか…?
…しかし…彼らの安全が確保された…と思った矢先、校舎側から耳障りな破砕音が響いてきた。

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