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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 607

「……申し訳御座いません」
「あー、いいよいいよ謝んなくても、ていうか報告も終わったんだから下がっていいよ」
「……はっ」
 禍月の言葉通り部屋から退出していく老人、一人残される禍月。
「……はぁ」
 禍月はつまらなそうに溜め息をつき一人ごちる。
「退屈だけどこれも世界に灰色の平和をもたらす為、か」
ただ独り…肘架け椅子に背を預け、天井を扇ぐ気だるい瞳に自嘲の色。
「まァ白だ黒だ決着付けろ…って騒ぐよっかは、オトナだよなァ…?」
ただ独り…誰ともなしに問う禍月に、答える者はいない…いやそもそも答えの有る疑問なのか?
…誰が答えられようか…
 虚空を見つめる瞳に映るは遥か過去、仕えし主と盟友たちの姿、自らを人ならざる存在と化す以前の記憶。
 己が主の歩む覇道の為、その先に在る平和の為にあらゆるものを犠牲としてきた。
 しかし待っていたのは破滅、誤ちに気付いた時には既に全てが手遅れだった、残ったのは幾多の不幸と怨嗟の叫び。
「あんな事は絶対に繰り替えさせねぇ……」
 自分のような咎人を生まぬ為、薄汚い野望に巻き込まれる哀れな被害者を生まぬ為。
「頼んだぞ、我が血族よ……」
権利書…それを手にする者は、ヒトの身にありながら八百万の神の末席に名を連ねる事が出来る…とまで噂される『熊野の支配権利書』を巡る者共。
葬送機関その他それなりの規模を持つ組織だけではない…。
神樹や天川小路といった能力者の名家、姿を見せず暗躍する旧香港国際学園の亡霊達、そして新たに倶利伽羅を追う連中。
綺麗事を並べ何かしらの形で…権利書に関わる火種を持ち込もうとしているではないか…。
その全てを、灰色の調和に導く為に彼はここにいる。
「退屈…退屈だぜ…死ぬ程、退屈だ。」

…そして、かつて五年前『熊野』の名に踊らされた戦いの中、生き延びた者達…
…ここは警備局の一角…
「あー退屈だ、死ぬ程退屈…つーか死ね、あのハゲ教頭!何が校長代理だ!?」
制服を着崩した柄の悪い警備員、銀城刹那が火のついてない煙草をイライラと唇で揺らす。
ロクに会議にも使われない会議室に彼等は屯していた…いつものメンバー。
「俺達に対する当て付けなんだ!生徒達に怪獣退治を任せて…俺達教職員を無視して!?」
ぐりっ…と壁に拳を突き付ける1-A担任、橘…いや立花理人。

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