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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 603

レイナの疑問に晶は少し迷ったかのような表情をほんの僅かに浮かべるとその口を開く、ただその目はいつもの霞がかった目ではなく、深い悲しみと怒りが混ざり合った複雑な色を見せた。
「何も……ただ……昔の自分を見ているようで……ひどくいらついた……」
そう言う晶に昔の記憶がふと甦る。
親のいなかった自分と同じ境遇の幼馴染みの少女と一緒に親であり、師であった青龍の元で修行し、得た力。それに慢心し力を暴走させて、行き着いた結果は傷だらけになって泣いている幼馴染みの少女。

そこからは覚えていない。次に目覚めたときには懲罰房に入れられて、一週間力を持つ者としての責任、その在り方をみっちりと叩き込まれた。
それ以降は感情の起伏が少なくなり、強化系だった能力も十戒という条件付けを付与させて弱体化させた。
戒め、神凪晶の最も忌み嫌う条件付けであった。
だが不思議とそれも、不自由とは感じなかった。
有言実行…苦痛を伴う戒めをもって己の器を思い知るが故、反面その戒めを乗り越えた達成感を噛み締める事を許された高み。
例え孤独な旅路にあっても離れていても、叱ってくれて褒めてくれているかのような『漢』の絆。


「あれっ?」
 晶が回想に耽っている傍ら、何かに気付いたレイナが声を上げた。
「どうかしたのかね?」
 玄人が声をかけるとレイナはある方向を指差した、其方に目をやると。
「……むぅ」
 白月が紡いでいた魔法陣が空中でバチバチと火花のようなものを散らしていた。
 完成寸前の術式を無理に中断したのがいけなかったのだろうか。
「まずいな……あのままでは術式が暴走して指示を失った魔力があちこちに飛び散るぞ?」
「飛び散ったら……どうなるの?」
何やらのっぴきならない状況に陥ったと察したレイナが恐る恐る聞いた。
「魔力といっても元を正せば生命エネルギー、生気だ。だがそういう作り変えられた生気は自分以外の、者とは相容れない。もしそれを被ってしまったら心身に何らかの弊害を及ぼす事になる。それにあの魔力量だ……どこまで広がるか……」

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