香港国際学園〜第二部〜 593
目覚めると、目が痛かった。
恐らくは、とても他人には見せられない顔をしているであろう。
どんな手を使ってでも止めるべきだった…それだけ違和感というか、嫌な予感がして仕方がない。
だけど、そんなことはできなかった…
これまで感じたことはなかったけど、考えたこともなかったけど、考えたくないとさえ思っていたけど。
「愛してるんだろうな…」
「ひてまわり…いや、ふたまわりもみまわりも大きくなってこいよな」
そして、グシャリと煙草の箱をつぶすと…
「縁起を担ぐって訳でもないけどな…」
と、誰に言うでもなく呟いた。
自分が愛してしまった、かなり頼りない男に向かって。
そして、グシャリと煙草の箱をつぶすと…
「縁起を担ぐって訳でもないけどな…」
と、誰に言うでもなく呟いた。
自分が愛してしまった、かなり頼りない男に向かって。
捩れた紙箱から、残りの煙草が千切れて落ちた…。
「ここはアンタの言う『アウトローさん』…ロクデナシ共の天国…ボヤボヤしてたら後ろからバッサリだ…どっちもどっちも…。」
彼の修行とやらの合間の逢瀬…こうしてまだまだ脇が甘い。
かつて中等部時代…変態女の群に囲まれ餌食になりかけていた天地を拾い、そのままお持ち帰りしちゃった時の事を思い出した。
「アタイだって…初めてだったんだぜ…。」
かつて神の子と呼ばれた少年が倒れている…ここは香港国際学園特別区、学園施設0088…通称『男宿』。
天地の止血を慣れた手付きですると、おろちは身なりを正すと外へ向かった。
『…ガガッ…ひかる、えった…聞こえてるか?』
『…はい、刀機さん…』
『よし!…ではオトコギドラが来たら、合図を送る…そしたら登場しろ…派手にな!』
『はいっ…ガガッ……』
「ふぅ…これで準備は万端だな。おい、執事…敵はまだ見えんのか?」
双眼鏡を片手にルーファスは答える。
「いいえ、まだです…通信は入ってないんですか?」
「うむ…どうもオトコギドラは低空飛行をしてるようでな…発見したら報告するのだぞ?」