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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 586

「「「ウオォォッ!」」」


「ふむ…彼もなかなか…」
小高い丘の上から戦況を覗く玄人達五人。
「どうであるかな?君達がこれから転入するクラスとやらは…」
「いいね!楽しそうだし!こう…活気があるよね、紫怨?」
「…ああ」
「でもデルリン、本当に助けないの?」
「うむ、倶利伽羅様に言われていてな。まぁ…」
玄人は背中の蛇神剣を抜くと背後を斬りつけた。
「かた…かたか…た」
頭蓋を砕かれた竜牙兵は崩れ落ちる。
「身に降りかかる火の粉を払うくらいは良かろう…」
竜牙兵の一団が襲ってきた。
それぞれの得物を構え、迎え撃つ。
紫怨は未幸を、玄人はレイナをかばいながら戦う。
レイナの肩が震える。
「…恐いのか?」
「…うん」
「うむ…その気持ち、大事にするがよい。自分の、他人の死に慣れてはいかん…」
玄人はレイナの背後から迫る竜牙兵を叩き斬る。
「…我輩は死と隣り合わせになるとな、どこか喜ぶ自分がいる…そのようになってはいかんよ」
「…うんっ♪」


古代竜は高く飛翔すると、あたりを見回した。
先程までうじゃうじゃといたヒトが見当たらない。
銃弾や、精神力の宿った刃を受け続けた翼が悲鳴を上げる。
有象無象の雑魚共と余裕を見せ過ぎたか、廃墟に降り立つ膝にも痛みが走った。
鱗の隙間を抜けたオリハル合金の槍を鉤爪で払った刹那、ふと気づいた足元に絡みつく送電線。
クモの巣が如く張りめぐらされた工業用電線…幻獣の頂点にして神の領域である古代竜に仕掛けた、人類の罠。

瞬間的にまずいと悟り再び空に羽ばたこうとする竜に不可視の圧力がかかる。
「『竜言語をまさか会話に使うことになるとは…』」
気づくと竜の眼前に脆弱なはずの人間がいた。
「『なにもの』」
「『ただの人間』」
竜の問いに即答する。
「『ただの人間が竜言語を解し我が飛翔阻めるものか。貴様、魔術師だろう?』」
竜の言葉に否定も肯定もせず肩をすくめる。
「『まぁいい。飛翔を阻んだ所で人間に我が倒せるわけはない』」
その言葉に眼前の人間がクック…と口元に手をあてさもおかしいように押し殺した笑い声を出し肩を振るわせた。
「『なにがおかしい、魔術師』」
怒りを含んだ言葉に「失礼」と一言呟き竜に向き直る。
「『竜、君にいいたいことが2つある』」
「『なに…?』」
「『1つ、僕は魔術師じゃぁない』」
人間の言葉に一瞬、竜が思考を巡らせる。そして1つの結論に至る。
「『まさか貴様魔法…』」
竜の驚きの声を遮るように言葉を続ける人間。
「『そしてもう一つ、自分のいる世界と違う所にきたら少しは怯えるものだ。なんでも自分が一番だと思わない方がいい』」
そう、ニヤリと笑う人間の言葉が耳に届くとほぼ同時に竜の身体を激しい電撃が襲った。

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