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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 59

湯船からは信じられない程湯気が立ち上り全く前が見えなかった。
(何だろ……この湯気??)その湯気の向こう側に人の気配はするのだが、湯気を掻き分けて行ってもそこに到着しない事に、光樹は少しずつ不信感を抱いていたのだ。

そして、その湯気の向こう側……2人の人物がいた。
1人は学園を散々探し回り、ようやくここでお目当ての人物を見つけた刀機。そして、もう1人は刀機のお目当ての人物……刀機を膝に抱きかかえた彼は上機嫌であったが、刀機は不機嫌そうな表情をしていた。
「やっぱり、広いお風呂は良いよね……パパを愛する娘と入るのは特にね」
「誰かパパだっ!……それに、抱くな!、撫でるな!」
「久々の父と娘のスキンシップなのに……全く反抗期だなぁ、我が娘は……昔は抱っこをせがんてきたのに……」
刀機自身、この胡散臭い人物を快くは思っていなかったが、身体の方は抱っこされる事に心地良さと安らぎを感じていた。
それが余計に腹立たしく、このつかみ所の無い人物を見上げる。
「しかし、一体何なんだ……メイドロボと言い、手帳と言い……何が目的だ、みこと」
「ふーんだ!……パパと呼んでくれないと教えないよ!」


「ならばその前に!五年前の戦いで魂を失った貴様の娘の中に、器である肉体を失ったこの私が存在する理由を説明してみろ!」
「この解らず屋さん?」
みことは腕の中でもがく刀機をデコピンで黙らせる。刀機は弱々しく、絞り出すような声で問う。
「いつも通りの戯言でもいい…舌先三寸で…父として娘の我儘を丸め込んでくれんか…?」
「かつて男と女は一つの身体だった…それが離れ離れにとなった互いを己の半身として探し求める…難しく考える事はない、君は曲がりなりにも愛する人とニコイチで生きている。」


ざぼっ!ぶくぶく…意地悪な父親の様に刀機を湯船に沈め、湯煙の向こうへ消えるみこと…。
『あいるびーばぁっく!』

…ぶくぶく、ぷはぁ…浮上した刀機の目の前には、心配そうに手を差し延べる栗原華菜美の姿があった。
「ここはどこだ?」
刀機はうっかり男湯に漬かって居た事など意識にないが(天然)、みことが気を利かせて(もちろん脱衣籠も)女湯に移してくれていた。
…そして男湯の光樹は当然ほったらかしな訳で…。
「ここはどこだ?」
辺里影汰と音無次郎が『他人の振り』をしていた…。

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