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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 575

…救護活動に当たるサラタームと烏丸倉之助の視界に、その名の通り『音も無く』工場街の谷間から竜牙兵の群れに銃火を浴びせる次郎の姿が映った。
「うぅ…イテェ!イテェよぉ!?」
「も…モルヒネ打ってくれぇ!!」
廃工場の空き部屋…精密機器用のクリーンルームは、適度に埃や外気を遮断出来る野戦病院と化していた。
烏丸は裂けた腹から飛び出した腸を掴むなり、メスで自らの掌を裂く。
「Fack!!」
薬物能力者である彼は体内で精製した抗生物質を掌の傷口から直に塗りたくり、助手としてついてきたサラから消毒綿を受け取る。

傷口に消毒綿を押し込み些か乱暴に縫い合わせてゆく…かなりの荒療治だが、それなりにツボを押さえた手際であった…中等部時代はヤミ医者で食っていたとか。
「止血剤と抗生物質!投薬量は…云々!!」
「了解ナノヨサ!!」
サラは烏丸の肩に掌を乗せながら薬物精製能力をコピー…プラシーボ能力で反対の掌にそのコピー丸薬が現れた。
それを飲み下す事により彼女にも薬物精製能力が一時的に備わる訳である…霧状で患部にドクター指定の薬剤を吹き付け次の患者へ…。

「次っ!…麻酔用意っ!…」
「ガッテンなのデス」
ごいんっ!!…
麻酔…ならぬロシアンフックでテンプルを打ち抜き静かにさせるサラ…
正しく名前の通りの『荒療治』である。
…白衣の天使ならぬ『白い悪魔』と化したサラの強烈な麻酔に…痛みに騒いでいた男宿の野郎共も流石に静かになる。
「俺…直ったかも…」
血に染まった腹を抑えながらも出て行こうとする男に、倉之助は男の肩を掴んで笑顔を見せる。

「ヘイッ、ブラザー…遠慮すんなって!…みんなまとめてブッ生かしてやっからよぉー!!」
「ハーイ♪…サラもボコボコにブッイカすのデス〜…」
その笑顔…名医赤ヒゲと言うより海賊赤ヒゲと言った所か…白い悪魔と共に高らかに笑う。
この後、野戦病院からは男達の悲鳴と絶叫が木霊するが…全員直ったのは言うまでもない…

丁度その隣の、倒壊しかけた建物だろうか。
『トラップ』開設の為その復旧にあたる生徒がいた…。
工場地帯というからには変電施設の存在は欠かせまい…激しい戦闘に紛れて変電所のコントロール室に侵入、非常電源で機材を立ち上げてゆく影井京平。
「電流火花のメ〜カニズム〜…そびえ立て蒼い何とか〜…でござる。」
マニュアルが残っていたお陰で以外と早く作業は進行している。
陰の薄い引き篭り学生だった彼にとってコンピュータの基礎的な扱いは問題がない(おい)。

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