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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 574

「何だか…大変な事になってるね…」
玄人のやや後方からすでに聞き慣れた声、霞がかった目をした少年 神凪 晶がそこに居た。
晶はどたばた騒ぎになっている古代竜の方を見ながら顔を向けずに玄人に問いかけた。
「随分と…苦戦しているみたいだけど…手を貸さなくて…良いの?」
そんなぼんやりとした晶の問いに玄人は苦笑いを浮かべながら首を振った。
「今回ばかりは観戦だよ…師匠からの言いつけだからな…」
晶はそれこそ首の支えが折れたみたいにかくんっと首を傾げながらさらに問いかける。
「言いつけって…何て?」

 
「最近出番が多すぎだから少しは自重しろ、とな。全く…あのお方はどこまでが冗談なのか真面目なのかが皆目検討がつかん」
そんな玄人の愚痴に晶はほんの少し判るか判らないかの笑みを浮かべながら古代竜の方に意識を向ける。
「あぁ〜〜〜っ!!もうっ!!次から次へとウジャウジャ湧いてくるわ、こんな事になるならロケラン(注、ロケットランチャーの略)でも持って来れば良かったわ!!!」
雪菜の苛立つ声に皐月は相変わらずニコニコと微笑む。
「それなら…クマさんに持ってきて貰いましたわ♪」
森のクマさん…ならぬシロクマが、団扇を片手に扇ぎながら黒光りする箱を皐月に手渡す。
シロクマさんから手渡された箱…ロケットランチャーをヒョイと肩に担いだ皐月は、前方の竜牙兵に狙いを付ける。
「皐月っ?!…ダメッ!、ダメッ!、ダメッ!…」
「はへっ?…」
雪菜が『大変な事』に気付き、慌てて皐月を止めるが…やはり天然ちゃんには解らなかったようで…

カチリと発射スイッチを押す皐月…
どぉんっ!と発射…後方に向けて…
逆さまに持っていたから当然だが…皐月は不思議な顔でランチャーを見る。
「どあぁあぁっっ!!…」
ケモノ達と一緒にケモノのような反応で叫びながら避ける大地と当たらない所で無駄なマ○リクス避けをしてみせるひじり…
「あら?…反対に出ちゃいましたわ…」
天然な反応の皐月に次郎が軽くポカリと皐月の頭を叩く。
てへっと舌を出して笑みを浮かべる皐月…流がいれば間違いなく前髪を後退させていただろう。

皐月から箱...連装ロケットM202A1を取り上げ肩をすくめた。
次郎も荒れた中等部時代を過ごしただけに武器の扱いは慣れていたが『見た感じ』は誰でも使えそうな単純デザインはタチが悪い。
「行くの?次郎さん?」
「......。」
次郎はシロクマにロケット筒を返すと、代わりに市街地戦に適したイングラムを受け取り『ぱらららっ』と呟く。
ジャケットを翻すその背を見送る菜乃花皐月...学園島のジャングル地帯『百獣の森』出身。
中等部時代までそこで暮らしていた野良生徒だったらしいが、彼との出会いにより正規の生徒として編入したとか。

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