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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 568

ルーファスの機転により防衛隊内の恐慌状態は取り除かれたものの古代竜の優勢は揺るがない。また放たれる雄叫びによる味方の恐慌状態に対処しなければ勝てる戦も勝てない。
「何か手はないか…何か…」
刀機が現状を打破すべく考えるも相手は声…耳を塞ごうにも聞こえれば竜の魔力に飲まれてしまう、ルーファスの演奏により気力を回復したとしても致命的な隙を晒すのは自明の理であった。
この鬱陶しい人間共を一掃出来る…恐らくはこの巨竜はそんな事を考えているのだろう。顔には心なしか余裕の表情を浮かべているようにも見えた。
巨竜は再び雄叫びをあげるべく大きく息を吸い始める。
駄目か…
必死の抵抗を続ける防衛隊内に絶望と無力間が満たされ始める…。
…唯一人を除いて…
大きく息を溜めた古代竜が先程よりも大きなモーションで吼える。しかし吼えているようなモーションをとっているだけで実際に声はこちらに届いてはいなかった。
その代わりに聞こえるのはサックスの大轟音。その音が竜の声をかき消していた。
そしてサックスの音が消える頃には竜の雄叫びは既に終わっていた。
インカムから大きく息を吸ってルーファスの言葉が聞こえた。
「どんな音だろうと端的に見てみれば空気の振動…波です。ならば…こちらからも全く別の位相の波をぶつければ相殺されて0になります…
良い勝負の綱引きは中心が動かないのと一緒ですよ…
だけどこれも出来て後1〜2回位…皆さんはあいつに雄叫びをあげさせないようにしてください…」
そう言い残して通信が切れる。だがルーファスの行ったことはルーファスが言ったように簡単に出来るものではなかった。
ルーファスは最前線より遙かに後方の孤児院近くにいた。そこから刀機を始め防衛隊の面々が銃声や刀と鱗がぶつかる音など様々な音を出していた。
ルーファスはそれらのノイズや人間による音の共鳴や吸収を把握した上で修正をかけてあの竜の叫びを相殺したのである。
しかし人間ごときが体長で大きく勝る竜の放つ音には敵うはずも無い。

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