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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 551

「それに…一度、戦ってみたかったのだよ、ケルベロスとやらを!ハハハハッ!」
玄人は笑いながら突撃する。

「念のため…アレを召喚しとこうかな?」
美幸は誰にも聞こえない声で呟いた。

限界を超えての能力を行使するため玄人は激しい頭痛をもよおしていた。
「ガァッウゥ!」
「っ!…斥力!」
ケルベロスの左右の頭に両手を突っ込む玄人。
「ハァァァッ!」
痛みに堪えながら斥力を限界まで上げる。

パァァン!

ケルベロスの左右の頭が内側から膨張し弾け飛んだ。
会場に血の雨が降る。
「ハハァッ!後一ぉつ!」
「ギャンッ!グゥウォォッ!」
残った中央の頭が玄人に襲いかかる。
「甘いわぁ!」
腰に納められた二本の刀を抜き放ち、ケルベロスの前足を斬り裂く。
「ヴオォッン!」
ケルベロスは後ろ足で立ち上がり、玄人に向け牙を剥く。
「ぐぅ…」
玄人は刀の峰で受け止める。しかし、百キロ以上あろうケルベロスの巨体は受け止めるだけで精一杯であり、膠着状態になった。
「むう…まずい」
玄人の体力が限界に達しようとしたその時…

シュンッ!

ケルベロスの頭は傘で貫かれた。
「デルリン…大丈夫?」
晶が玄人に声をかけた。
「う…うむ!」
玄人の肩から力が抜けた。

『白月選手の召喚したケルベロス!大阿門、神凪ペアに敗れたぁ!』
『大阿門、神凪両選手とも疲労がピークに達してますわね。後、一撃というところかしら?』

「そんな!ケルベロスがこんな速く負けるなんて!しょうがないわね…まだ、完全じゃないけど食らえ!ゲイボルグ!」
美幸は小振りの黒い矛を投げ上げた。

「ゲイボルグ?…晶ちゃん君、危険だ!傘の下へ!」
玄人は肉塊と化したケルベロスの頭部から傘を抜き取った。

「そんなちんけな傘じゃ防げないわよ!」
美幸は叫ぶ。

玄人は傘を開き、天へかざす。その傘に晶が入ると同時に玄人は最後の力で能力を発動した。
「おおぉぉっ!斥力ぅ!」
能力発動と同時に、天へ投げ上げられた矛は数百本にわかれ、雨の如く二人に降りかかった。
何人かの観客が悲鳴をあげる。

『すごい!凄すぎる!槍の雨霰だぁ!大阿門、神凪ペア、直撃ぃ!』
『ゲイボルグ…神話においてクー・フーリンが用いた矛ですわ。数千の槍の雨が降ると伝われています』
『おぉっとぉ!土煙が晴れていく…』
「ぬうっ!晶ちゃん君!その腕は!」
玄人が驚くのも無理はなかった。この試合中に生徒の安全を護る結界が働いているにも関わらずに、晶の腕には槍の一本が深々と刺さっているのだ。
「フフ…やっぱり無理は…するものじゃないね…急いでいるとはいえ…誓約も課さずに十戒の解放は…」
晶はそこまで言うと腕に刺さったままの自分の血で赤黒く染まった投槍をさらに押し出した。

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