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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 550

玄人の変化を見逃さずに紫怨は攻撃の手を玄人に絞り出す。
「ぬうう、これは流石に辛いな…」
我知らずに柄にもなく弱音を吐いてしまう玄人、しかしそれも仕方なく思えてしまうほどの劣勢っぷりだった。
紫怨に手間取りすぎれば美幸の奥の手であろう大型の召喚を止めることは出来ない。
かといって紫怨をないがしろにすれば後ろから会心の一撃が飛んでくる。正に四面楚歌とはこういう事を言うのだろうか。
「デルリン…もう少し…彼を引きつけておいて…向こうが切り札を出すなら…こちらも切り札を切る…」
「了解した…晶ちゃん君、無理はするなよ!」
玄人はそう叫ぶと、先程の特殊三刀流を始めた。
均衡する二本の大斧と三本の剣。会場全体が固唾を呑んで見入っている。

「十戒設定…強化対象、反応速度及び肉体強度の変更。
強化比率、脚部0%…腕部90%、残りを攻撃時の速度に使用。設定…完了。これより十戒形態へ移行する」
高レベルな攻防を続ける玄人と紫怨に晶は駆け寄る。
玄人の背後、紫怨の正面へ回り込む。そして…
「デルリン…伏せて!」
「むぅっ…」
玄人はその声に反応し屈み、紫怨の攻撃を転がってかわす。
「はぁぁあっ!」
晶の渾身の一突きが紫怨を襲った。
「がぁっ…」
紫怨の胸を突いた傘は開かれ、回転していた。
紫怨は身体を回転させ、またもスタジアムの壁まで吹っ飛ぶ。先程とは桁違いの衝撃音が会場に響いた。

『劣勢だった大阿門、神凪ペア!しかぁし!神凪選手の渾身の一撃が放たれ、黒禍選手を壁まで吹っ飛ばしたぁ!黒禍選手はぁ!……立ち上がってこない!黒禍選手、ダウン!』
『先程の神凪選手の攻撃は腕への身体強化をギリギリまで上げ、放ったものですわ。熊だって失神するてしょうね…』
観客の間から歓声があがる。
しかし…
「…まだよ!完成したわ!来なさい…地獄の番犬ケルベロス!」

キィィンッ!

美幸の目の前に光が結集し、三首の巨犬が現れた。その大きさは一メートル強。立ち上がれば三メートルは超すかというものである。
「グルゥゥ…ウオォッ!」
「ケルベロス!紫怨の仇を討つのよ!」
「ウオォォンッ!」

「デルリン…」
「晶ちゃん君は休んでおれ…」
「でも…」
「安心したまえ!我輩の名はデルカイザー!地獄の皇帝だ!番犬ごときに負けるわけがなかろう!」
そう言うが、玄人の体力も限界が見えていた。

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