香港国際学園〜第二部〜 542
「うぅ…」
えったは唸る。
「さぁ…どうする、えった?漢を見せてみろよっ?」
「ああぁっ!」
えったは理都に飛び掛かった。
「うっ…そうだ、凶暴になれっ!獣になるんだっ!」
えったは理都を押し倒し、服を乱暴に破いた。
「うぅぉっ…おおぉっ!」
それは人間の、理性のある動物の交わりとはいえなかった。
『今日の試合は全て、タッグ戦です。それではぁっ…第一試合選手、入場ぉ!』
入場門から四つの人影が現れた。
観客から動揺が広がる。
四人の内一人が黒ずくめ。
一人は時代錯誤の三本の剣。
一人は二メートルをゆうに超える巨漢。
一人は普通の純白のワンピース。だがその少女の後から、巨大な影が…
『ド、ドラゴンだぁ〜。ドラゴンが現れたぁ!』
『おそらく、召喚系の能力ですわね。かなり高レベルの能力ですわ』
『しかし、ルール上良いのかぁ?審判陣、相談中です。しばらくお待ち下さい』
A組、観覧席…
「え〜、みんな。この試合よく見ておいてくれ!候補者達が出てるからな!」
流の声にA組のメンバーは返事をした。
「しっかしあの黒い奴でけえな、アフロを足しても俺が低いぜ」
「そうやな、どう考えても高校生ちゃうやろ、あれは」
「白い方も別の意味で高校生に見えないでござる、今時小学生でももう少し大きいでござるよ」
二人の容貌の話題で盛り上がる観覧席。
「…あぁ…こないだの誘拐犯とコドモ…」
雪菜も注目していたコンビ…意味もなく(多分コドモの方のワガママで)1-A入りを希望してきたコンビであった。
対戦カードには
黒禍紫怨
白月美幸
vs
マーカー井村
赤井有馬
とあった。
…試合を前に審判と物議をかもすのは白い小柄な少女…
「どうよっ!?」
ロリータ…というより小学校高学年程度としか思えぬ、淡く膨らんだ胸を誇らしげに反らす白月美幸…ドラゴンの鱗をぴぃいんと弾いて見せる。
「…。」
隣の黒衣の少年…黒禍は機嫌が良いのか悪いのか…むっつり黙って三点リードであった。