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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 537

いつもは厳かな雰囲気に包まれたこの周辺、今日は少しばかり違っていた。
「ん?この音は…?」
不意に興味を持った花鈴は普段は入らない教会の中に足を踏み入れた。
教会の中は外以上に何か侵してはならない神聖さを放ちながらステンドグラスから入った光が神々しさを倍増させていた。

実際の所音の正体はすぐに分かった、教会で鳴る音など数える位しかない。
「ルーファス…」
自分より遥かに大きなパイプオルガンに座りそれを見事な指さばきで演奏する燕尾服の少年。
ただ何より花鈴が気になったのがその安らかな調べに余りにも不釣り合いな悲しげな表情で、その顔には悲愴感すら感じられた。
何かの賛美歌なのか…いやこの悲壮感が『賛美』とは考え難い…クラシックか?或いは古い映画のテーマソングか?
…う〜む…『さらばやさしき日々よ』だったかな(太陽の牙ダグ〇ム)…
普段アニソン(マニアックな奴)しか聞かない花鈴お嬢様の脳内では検索出来なかった。
とにかくルーファスに声をかけるべきかどうか考えあぐねていた所で彼は振り向いた。
「あ…お嬢様?」
「う、うむ!!」
花鈴は一瞬立ち聞きでもしていた様な気不味さで眉間に軽く皺を寄せた。
「聞いてたんですか?」
ルーファスは立上がり近付いてきた。
「す…すまぬ」
「いえ、教会は来る者を拒みませんよ」
「そうか…何を弾いておったのだ?」
「レクイエムです、モーツァルトの」
「鎮魂歌か…」
「はい…お嬢様こそ何故、教会へ?」
「散歩の途中でな…」

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