香港国際学園〜第二部〜 528
電話の奥から聞こえてきたのは闇の様な暗さを思わせる渋く、低い声。
「聖光大母様、報告に上がりたいので許可を頂きたい。」
如何にも真面目な内容に少しばかり呆れながら口元を綻ばせながら返答を待つ電話の奥の男に伝える。
「妾にいちいち許可を求めんでも良いと言っているであろう…お前も近衛なのであるからな。バーネット」
電話の奥の男…バーネットは困った様な感じをしながらも口を尖らせ、アルマに忠告する。
「大母様、それではお楽しみの時に水を差してしまいます。…それと私を家名で呼ぶのは遠慮して頂きたい。バーネットと言う名は私の他にペルゼがいます。
出来れば私達兄妹は名前で…」
聖光大母…アルマはバーネットの言葉を自身の言葉で掻き消す様に言った。
「ああもうわかった。名前で呼べばいいのだな?ウェイン、それとノックだろうと携帯の着信音だろうと邪魔になるときはなる。いいからさっさと来んか!報告があるのじゃろう?」
「はい、それではすぐ報告に参ります」
そう言って通話を終えるバーネット。
アルマは携帯を仕舞い独りごちる。
「まったく……融通の利かん奴だ」