香港国際学園〜第二部〜 53
昼休みも終わり草木も微睡む陽気の午後
「ふわぁ〜…眠〜」
とりあえず校門近くを警備しながらタバコを吹かしている刹那があくびをした
「ただいま」
「ん、おかえり」
反射的に挨拶を返した
「……って、あ?」
何か違和感を感じ振り返った。だがそこには誰の姿も無かった
ほぼ同時刻、特別科校舎近く
「は〜…ヒマだねぇ〜」
竹箒で桜の花びらを集めているやなく
「ただいま」
「はいはい、おかえり〜」
二回ほど掃き
「ん?」
刹那同様振り返るが誰もいなかった
結局その日のHRに話題が上っても軽くあしらわれて、終わってしまった。
翌日、偶然出会った丈次と陣は通学途中で珍しいものを発見する。あからさまにがっくりと肩を落とした山本ひじりであった。
「おはよう、ひじり」
「…おーっす」
返す言葉に元気はない。
「おいおい、朝っぱらから何しょげてんだ?」
「…太った」
陣はだからどうした!と突っ込むのを思い止まった。ひじりの能力は「悪食」。今までいくら暴飲暴食してても、太ったひじりをみたことがなかった。
「おまえの能力を考えるとおかしいよなぁ…能力の使いすぎじゃねぇ?」
「それはないさ…自分、入学式前からほとんど能力使ってないしさぁ」
「おかしいよなぁ」
「おかしいさぁ」
そんな三人称を余所にスタスタと歩き去る人影が…手にはスーパーの袋を持ち、中には大量のあずきバーが…
「いけねいけね…みんなへのおみやげを忘れてたよぉ」
そんなこんなで、また波乱(?)に満ちた1日が始まろとしていた…