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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 516

逃げ惑う鯱を特別科の生徒は冷笑しながら見ていたが、一人の少女が立上がり『パシリ君』の逆襲を制する。
「もうそれぐらいでいいわ…」
彼女がこのクラスのリーダー、マリベル・レグランス…現能力Aながら、その素質はSSランクとも言われる特別科でも屈指の能力者だ。
ユダヤ系のこの美少女は、容姿に相応しい女王の威厳で周囲を制すると、ツカツカと鯱の元に歩み寄る。
「この程度の能力封じも解けないなんて…残念だわ…」

周囲のように完全に見下す視線ではない…むしろ彼女の哀れみを帯びた優しい視線は…逆に鯱のプライドの残りを打ち砕くに充分だった。
彼女は鯱の額に手を翳すと、クルリと踵を返して背中越しに鯱に言う。
「封じは解いておいたわ…でも、期待はあまり裏切らないでね」
肩を震わす鯱に言葉は無い…特別科において最低ランクに位置する彼にとって、中堅クラスの聖子なら兎も角、最高ランククラスに対抗する術が無い事は良く知っている。

そして、彼一人では『脱走』できない特別科を、彼女が知恵と力を化したから出れた事も理解している。
「皆も余り鮫川君を苛めて上げないようにね…彼は身を張って私達に興味深い出来事を提供してくれたのだから…」
女王の言葉に聖子も素直に頷く…能力が回復し床を少し壊して確認した鯱もそれ以上の事はせず大人しくしていた。
「さて…どうしたものかしら…これでは特別科の私達まで笑い者になりかねませんわね…」
とは言いながらも、マリベルの表情は楽しそうであった。

立ち去るマリベルに不信の色を隠せぬ聖子が鯱の肩を叩く。
「これからは怨みを買わない様、謙虚に生きる事ね...。」
「あ...ああ。」
聖子の憐れみの言葉に幾らか気力の戻った彼だったが、携帯には日ごろ鯱が格下と罵っていた(実際には同格の)連中から
『面白い物を見せて(聞かせて)貰った』
『勿論記録は取ってある』
という旨のメールや不在着信...当分ツッ張った真似は出来ないだろう。
無言で見ていた聖夜だったが、鯱に能力が戻った事を確認すると鯱から離れていった。能力が戻ったなら情けなど掛けられない。
特別科とはそういう所なのだ。
聖夜と入れ替わりで一人の青年が近づいていく。
「鯱、『外』はどんな様子だった。」
「…俺が出ていっただけで大騒ぎだったぜ。」
「そうか、まるで化け物扱いだな。」
青年、一葉 大化は残念そうに肩をすくめる。

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