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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 507

「あぁ、わかっている。では、またな『刹那』」
「あぁ、またな『刀機』」
一瞬過去に戻ったかのように互いに挨拶を交わすと刹那は仕事に、刀機は日常にそれぞれ戻っていった。



学園屋上
「やっぱり高レベル能力者は…」
金網にもたれかかり珠久が呟いた。
「犬…か」
学園のあらゆる場所に仕掛けている盗聴機の受信機を耳から外すと携帯電話を取りだしボタンを押した。
「もしもし?『レーヴァテイン』の調子はどうだい?20%?もう少し急いで調整を」
そういいまた別のボタンを押し、電話をかけなおす。
「もしもし、『アキレス』は完成した?後は打ち上げだけ?よろしい。じゃあ二〜三人『レーヴァテイン』に回して残りは打ち上げ準備を。あと『ニーヴェルン』の開発は?ほぼ完成?後は『レーヴァテイン』次第か…うん、ありがと。あ、あと『ミストルテイン』はココで間違いはないって調査隊に伝えて。んじゃ頼んだよ」
ピッと携帯電話を切る。
「ふぅ…まぁボチボチって所か。」
携帯をポケットに入れ屋上からの景色を眺める。
「……さて、芽衣子君が探している頃かな、かーえろっと」
そう言うと屋上の景色をあとにした。
階段脇…当然の如く待っていた男は佐藤某であった。
彼もまた何か妨受していたようだが、こちらはトランシーバー…無線マニアが警察無線などの妨受に使うそれに酷似していた。
アンテナを手際良く畳む某に珠久が問う、簡潔に。
「そっちはどうだ?」
「収穫はない。」
彼もまた簡潔に返した。
「それは良かった。」
珠久のそれはヤケにヒネくれた返事ではあったが、逆を取れば『収穫があっては困る』とも取れた。
「彼女自身は重大な任務と誇張して受け止めているようだがね…不憫で仕方ない。」
肩をすくめる某に珠久は同意する。

「何処の国…いや『何処の星』でも田舎の駐在警官の報告なぞ…受け取ったハシからシュレッダーに放り込んでいるだろうからな。」
映画なんかでよくある話だろ…と珠久は続け、くっくっと笑いを漏らし肩を揺する。
「宇宙警察とやらは…真剣にこの星を守ろうなどと言う意思はないようだな…じゃない?」
階段を降りた辺り、一応人目に付きそうなので『普段通り』の口調に戻した某の視界に『上の人』とケータイで通話している南田美波の姿があった。
「だからこそ僕らが居る。」
振り返る珠久のその先、血相を変えた芽衣子。
ゆくゆくはこの香港での戦いが最悪、地球規模の混乱となるであろう可能性を無論彼女には知らせていない。
彼女の怒りの矛先は珠久の、何時もの如く行く先も告げずフラフラと消えるライフスタイルに対してのモノであろう。
「おやおや委員長、男同士でイヤらしい...人にあれこれ調査や分析を命じておいて、今度は何の『密談』ですか?」
密談という部分を強調しながらコワモテ美人秘書…もとい1-E副委員長吉原芽衣子の頬が引きつる。
「芽衣子くんの今日のパン...。」
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