香港国際学園〜第二部〜 503
「ぐはぁっ!!」
やはり爆発型暴走…強烈な一撃に玄人の身体が沈む。
倒れてピクリとも動かない玄人…秘術や複数の能力も、圧倒的能力差を前に何の役にも立たなかった。
一瞬遅かったが刹那が動く。
身体を甲化させ鯱に目掛けて突っ込む。
「てめえらっ!…コイツ引きずってでも離れろっ!!…抑えれるか解らん!」
しっかりと掴まえた刹那だが…彼をして若干押されている。
「倶利伽羅ぁ!」
ヴィンセントが叫ぶ。
「嫌だね…」
「なっ…」
ヴィンセントの背後にみことが現れる。
「やい、玄人。君は僕の弟子なんだからそんな簡単にノビてちゃダメでしょ」
「すみません、倶利伽羅様…我輩の鉄壁、破られるとは思いませんで…油断大敵ですな」
一瞬、気を失っていた玄人はゆっくりと身体を起こした。
「倶利伽羅、何故だ?何故、封印を完全に解かん!」
「今、解いたらまた昔の君に戻っちゃうじゃないか…」
さも、当然のようにみことは言った。
「みこと師匠!」
「やぁ、ひかる。危ないから離れていなよ。ヴィンセント、玄人…君らは刹那を手伝ってあげてよ」
「はっ!」
玄人だけが返事をした。
「倶利伽羅、貴様はどうする?」
「僕が手を貸さなくても…ほら、君の奥の手を使えばさぁ」
刹那を援護しようと…ヒヒイロステンレスを鍛えた特殊警棒を、或いは劣化ミスリル弾を装填した拳銃を構えた刹那の部下達が歩を止めていた。
神の啓示が如き倶俐伽羅みことの声に。
「刹那…君の今回の任務は特別科脱走生徒の捕縛…だっけ?大阿門・D・玄人の力の幾らかは僕の責任の元に貸し与えている能力だ…気軽に特別科収容などと口にしないでやってくれ。」
「ケッ、悪いがそれが仕事でな!!…何の考えかしらんが、安易にポコポコとバランスが狂う能力者を育てんでくれっ!!」
必死に抑えながら叫ぶ刹那…彼ももう余裕がない。