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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 477

理人は教員用観客席から結界を解除できる地下の管理室へと行こうとする。
「あら?橘先生…どこか行かれるのですか?」
「…トイレだ!」
今泉の問いにそう答え、理人は足早に地下へと続く階段へ向かった。


カンッカンッカンッ!
理人が地下への螺旋階段を降りると、そこには警備員(全員能力者)が六人いた。
(…通してくれないよな、普通)
理人の考えがそこへ行き着くのと、警備員が理人の事に気付くのとは、ほぼ同時だった。
彼等の得物は刀や槍である者、銃器である者。
あるいは形式上、サーベルとリボルバーを吊してはいるが…躯の運び方や精神の波長などといった要素から判断して高ランクの格闘家か、なにがしかの能力が武器となる者…と得物は様々ながら学園の治安を守る存在…最悪の場合彼等と『事を構える』可能性もあるのだ。
手加減と案配の意味から懐の拳銃…デザートイーグル.50口径を意識した。
傭兵時代に愛用していたモノとほぼ同型の銃は既に初弾を薬室に送り込み撃鉄を起こしたまま安全装置をかけた、即応状態で携帯している。

向こうも手練れだが...うっかり理人が、素手ないし『龍』の力で加減を誤れば必要以上の死傷者を出してしまう。
それ故『手加減と案配の意味から』懐の.50口径を意識した。
「・・・。」
...焦げつくような彼の緊張感を裏切るかの様に、六名の警備員は通路沿いに拡がり直立不動の姿勢...いや指揮者と思われた者だけは制帽の脇に平手を構える挙手の敬礼を行った。
事情は聞いている、だから何も聞くな...とばかりに。
理人は指揮者に、姿勢を正し(脱帽、無帽故)お辞儀に似た一礼...彼が頭を上げると指揮者も敬礼動作を解いた。
「…結界を解除したら、二分以内にここから離れて下さい。別の階の警備員が来ますので…」
「…助かる」
理人は管理室のドアを開け、中に入る。
(…ここに来るのは初めてだな)
そこには様々な機械と会場全体を監視できるモニターがあるだけで無人だった。
モニターごしに試合を観てみると、珠久と某がひかるへ牽制し、暴走を抑えていた。
(解除するには…これか?)
理人は幾つもある機械の内、最も大きい物から突き出ているレバーに目を付けた。
それは傭兵時代に見た、戦闘機のコクピットにあったレバーにも似ている。
「…これで俺も停職かな…また子供ができて家計が苦しいってのに…」
このレバーを下げずに事無きを得ることも考えたが、理人の教師としての誇りが許さなかった。
「うりゃ」
ギギーッ
レバーは不快な音を起て下がり、モニターの向うでは珠久に攻撃されたひかるの腕から血が垂れていた。
「成功…したのか」
理人はホッとすると同時に先程の警備員の言葉を思い出し、管理室を出て会場へと向かった。

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