香港国際学園〜第二部〜 476
そう言うと着物の袖口から大量の隠し武器が落とされた。
「どれくらい発動できる?」
「まぁ片手分くらいはなんとか」
首の骨を鳴らし、肩を回す。
「行けるのか?」
「やりますよ〜やらなきゃ光樹君が危ないからね」
軽くジャンプをすると深く深く息を吐いた。
「あまり大衆の面前で使うもんじゃないけど……」
突然のアクシデントに静まりかえった会場に珠久の声が響く。
「『限界突破』!!」
瞬間、珠久の姿が消えた。
そして一瞬の内にひかるの眼前に現れると、眉間、顎、喉、みぞおちに拳を叩き込んだ。
「かっ……」
膝をつくひかる。普通なら気を失うはずなのだが…
「(!!力が…流れ込んでくる!?)」
失ったはずの精神力が蘇ってくる。それどころか感じた事のない充実感が沸き出してくる。
が、ひかるの耳に苦痛の声を上げる刀機の叫びがインカムを通して聞こえた。
「ぐぁぁぁぁぁ!!」
視線を移すと刀機だけではなく他の奴隷ズも苦痛の声を上げている。
「チッ…やっぱり絆之者がいたか…」
忌々しそうに某が呟いた。
「『絆之者』…?」
ようやく起き上がれたえったが聞く。
「起きたか…絆之者はいわば外部エネルギータンク。精神力を主に送る、そんな存在の事を指す。だが覚醒暴走状態だと送るなんてもんじゃなく…」
「奪いとる…まさか!!」
「そう、精神力がダメージのこの結界のなかだと『絆之者が死なない限り』無敵って事だ。逆を返せば……わかるな」
「この状態が続けば『絆之者を殺してしまう』…」
「正解、まぁそんな事はさせねぇ為に珠久がいる」
そう言うと消えては現れ消えては現れる珠久に視線を送った。
同時に珠久は理人に念話で話しかけていた。
『…橘先生…聞えますか?』
『!?』
『珠久です…さっきの件ですが…』
『お前…結界内から念話してるのか?』
『ええ…それよりも今の状況、分ってます?』
『ああ…桜川の力が暴走してるんだろ?』
『…実はひかる君が性的に繋がっている生徒達から精神エネルギーを奪っています』
『なんだと!』
『だから…結界を解いて下さい…』
『…ちっ、わかったよ』
『保って五分です…急いで下さい…』
そして珠久からの念話は切れた。
(しょうがない…生徒達の命には代えられないものな…)