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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 462

「すみませんー、やはり噂通り優しいですねー」
くるぴよくるぴよしている花丸をヨソに、珠久が光樹ににこやかな笑顔を向ける。
「さて、とそろそろゴングが鳴りますね。お互い頑張りましょう」
「あ、はい」
笑顔の珠久に返事を返すと同時にゴングが鳴った。
周りを見ると自分達以外が定位置に着いている。
「あ、陣形を作らないといけないので…」
「はいは〜い。あ、」
そう言い後ろを向こうとした光樹を珠久が引き止めた。
「はい?」
「靴紐、ほどけてますよ」
珠久の言葉に視線を落とす。
「はぁ、優しいというかなんというか…」
ため息混じりの言葉と同時に光樹の顔面に膝蹴りが入った。
「ぶっ…」
膝蹴りの衝撃で体を反らした光樹に、膝蹴りから膝を伸ばした蹴りが顎に入り空中に吹き飛ばされた。
「!!」
先程からの珠久との和やかなやりとりで油断していたA組メンバーが空中に蹴り飛ばされた光樹に視線を集中させる。
「作戦開始」
珠久の言葉と同時に光樹の隣に投げられた閃光弾が激しい光を放った。
本来ならば互いに礼を交した後鳴る筈のゴング…そして規定の陣形を整えた上で試合が始まる筈が!?
放送室は大わらわであった...。
「誰だ!時間前にゴング鳴らした奴?試合勝手に始めちゃってる!!」
騒ぎの中…最低限冷静さを保っていた一人が内線で問い合わせた結果。
「教頭が許可を出したとかで…このまま続けてさせてしまえとの事です。」
「ふぅ?校長不在…教頭の事無かれ主義に感謝だな?」
不測の事態に混乱した放送室で、ロクな審議もなくヤケに対応が早い事に対する疑問を抱く者は居なかった。
ここにいるのは同じく自分らに咎が及ばねば良し、事無かれ派の生徒ばかりだった。
いざ責任追求となれば無能な癖に権力だけは一丁前に振りかざす教頭の名前を出せば事足りる。
その傍ら事の発端、早すぎたゴングの具合を見ていた生徒の指先が粘る、そして甘い匂い。
「なんか汚れてるし…ジュースでも溢したのか!?」
憤慨する放送委員が安直に認識したモノ。
溶け易い蜜蝋に触媒を加えたトリック…何者かが忍び込み蝋で打ち金を固定、そして…。
「まったく!アレほど放送室は飲食禁止だって…ぶちぶち。」

そのトリックは少年探偵漫画ばりに検証される事もなく『たまたま近くにあった』掃除用のウェットペーパー、しかもご丁寧に揮発性洗剤入りの奴で拭き取られ屑籠に放り込まれた...。
この一連の裏工作...何者の手による物かなぞ、今更語るまでもあるまい。
そしてメインディッシュとも呼べる策謀は未だ...。
『あぁああ〜っとどういう事だぁああ!?』
流石の名アナウンサー音無太郎も驚きを隠せなかったが放送室からの通達に一応の納得、細かい疑問はおざなりに実況にはむしろ熱が入った。

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