PiPi's World 投稿小説

香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 444
 446
の最後へ

香港国際学園〜第二部〜 446

まだ誰も学園に来ていない時間帯、闘技場前に人影が二つあった
光樹と影太の師匠、みことと荒である。
「んー・・・」
「どうしたアル?」
みことらしからぬ唸り声に荒がたずねる。
「いや・・・光樹、覚醒を急ぎ過ぎたかもしれないと思って・・・」
「そうかもしれないアルな、あのショタ馬鹿より資質が上な分余計心配アルな」
「はぁ・・・大丈夫かなぁ光樹・・・暴走しないかなぁ・・・」
そう言い肩を落とす。
「ま、私的には今暴走してくれた方がおもしろ・・・謝謝、止め安いと思うヨ」
そう言い仕込杖を鳴らす。
「・・・荒の『止める』は頭に息の根が付くから却下」
「失礼な、腕の一本に抑えるアルよ」
なにが失礼なのかはわからないが荒が答える。
「それも却下、まぁ試合中に限界突破すればの話だけど・・・」
「倶利伽羅」
「ん?」
「それは今流行りの『ふらぐ』と言うやつアルよ」
「マジで!?」
闘技場前にみことの声が響いた。
「そうアル、なんでも『らいとのべる』とかいうのではそういう不吉な発言はほぼ確実に現実になるのがお約束らしいアルよ」
「うわ〜困ったな……どうしよう?」
「知らんアル、自分で考えるよろし」
無碍に言い放つ荒。
散々いらん知識を吹き込んだ挙句、相方の困り果てた表情をむしろ楽しんでいるとしか思えぬ辺り…流石は影汰の師匠である。

「まぁその辺…案配良くする為のショタ馬鹿わんこアル。」
「いや…君んとこのわんこ…常に暴走してんじゃん。」
みことの影汰に対する率直な評価に…荒は嬉しそうにうなづいた。
「その時はその時でまとめて…。」
「わかったもういい。」

少なくともみことはこれ以上の論議は無駄に自身の不安をあおるだけと判断した…。

「まぁいい…今は僕らに出来る事…。」
「高みの見物と洒落込むね…。」

荒が鞘に納まった仕込み刀…錫杖をかざし、可聴域を超えた高音とも低音とも取れぬ短い発声を行うと…長く澄み切った鈴音が響く…。

一陣の風に御符が渦巻き…その空間には始めから誰も居なかったかのような静寂が訪れた…そう…文字通り『誰も居なかった』様に。

そこに『何か』居たのなら何かしらの形跡が残る。
もし今この場で何かしらの科学調査を行えば足跡はおろか、呼吸や生体の放射熱による大気の変化さえも検出出来なかったであろう。
転移能力の類を用いたならば、多少なりとも転移先の何かと入れ替わった形跡が残る。

SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す