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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 445

「あの『影犬』ときたら…本〜っ当にハラ立つ『わんこ』だけど…アンタが一番に理解してやんなきゃ!?」
「うん…。」

雪菜は『影犬』『わんこ』というキーワードを特に強調…してはいるが、彼女なりの辺里影汰に対する信頼が見え隠れしていた…。
雪菜はもう一度ひかるの頬を撫で…窓辺で寄りかかる様に…夜風に長い黒髪を任せた…。

…ばしゅぼしゅばしゅ…

窓の外で、空気の漏れる様な音と金属が擦れる音の混じり合った小さな『発射音』…それを理解した羽音が…。
「伏せてぇ!主にゆっきぃ!!」
と叫び床に伏せた。

雪菜もまた、アイツの性格を良く『理解して』いた…。

ふん…とクールに鼻で笑い…最低限の動作…一歩窓から離れる程度に『それ』をかわした…。
「正確な射撃故…予測は容易い…ってねぇ!?」

窓(三階)から飛び込んだ『それ』は…。

「ハイ?」
サラの見上げる天井を跳ね…。
「ん〜?」
量子のよっかかる壁のホワイトボードを跳ね…。
「ひゃっ!?」
羽音の突っ伏す鼻先の床を跳ね…。

「何さ…ぷぎゅっ!?」
雪菜の顔面に全弾ヒット…ゴム弾の痣を三つ作った彼女が床に崩れ落ちた…合掌…ぽくぽく。

…シテ〇ーハンターかセ〇クスピストルズか…えったの有り得ないビリヤード射撃が雪菜を悶絶させた。

『どうなすったの?えったさん?』
『いえ…今なんか不快な単語がふたつ程聞こえた様な…。』
…と共学寮前でのやりとりの後…走り去るえったに、未来は背中越しでセンチメンタルを感じながら、ひかるの元へ…。


「ふぅえええんっ!未来ちゃぁあん!?」
涙で愛らしい小顔をくしゃくしゃにして出迎えたひかる…未来は『軟弱者!!』とビンタを喰らわせたい衝動を堪えた。
マトモに戦える様になっただけでもマシか…と。

ひかる…厳密には光樹の心の弱さから来る神経衰弱の類ではない…そいつは克服した筈なのだ。
未来とて人を見る観察眼は備わっているし、多少の精神感応も可能だ…。

光樹からひかる…性別変化に対する本来の性とのせめぎあい。
奴隷ズも聞きかじった知識だが…望んで性転換を行った人間でも、こうした情緒不安定は避けられないという…。
影汰の女装というある種の準備運動を経由した訳でもない…刀機みたいな極限レベルでの芯の強さは例外中の例外だ。

結局『ひかる』は未来の胸の中で散々泣きはらし眠りに落ちてしまった…。

すやすやと寝息を立てて眠るひかるに膝を貸し、頭を撫でながら未来はひかるに語りかける。
「お休みなさい…」
能力発動の疲れからだろう、未来もいつの間にか眠りに落ちていた。
外では既に空が白み始めていた、じき夜が明ける。
どの国で迎えても夜明けは美しい。
ここ香港の朝日も神々しさを放ちながらその姿を現した。
いつもと変わり無く、今日もまた「今日」が始まっていく。
A組にとっての第4回戦…E組との決戦の朝が…。

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