香港国際学園〜第二部〜 386
人並み外れて強靱な精神を持つ刀機と言えど、五年の月日は心と躯を一つにするよい時間になっていた。
違和感無く使えるようになった反面…こう言う躯の感覚が精神に大きな影響を与えるようになったのも事実である。
どんどんと精神のガードが弱まっていき、自分でもヤバいのは解っていたが…今の刀機にどうする術もない。
「刀機…その躯は所詮メスだ…メスになってしまえ、刀機……性と暴力に身を任せれは…君もその良さが解るさ…」
アドルフの耳元の囁きは、まるで悪魔の甘美な囁き…
悪態の一つでもついてやりたいが、刀機の口から漏れるは快楽の吐息と呻き…快楽を求め淫らに振る尻を制御できずにいる。
ズニュッ!…
「はぅあぁんっ!!…」
アドルフの二本の指が刀機の腟内に侵入した瞬間発せられた刀機の声は…もはやメスの淫声だった。
そして侵入を果たした指は生き物であるかのように動き、刀機の快感のツボを的確に捉えていく。
「ふふふ、いい反応だ…我慢する事無い…快感に身を任せてしまえ……」
楽しそうに嘲笑うアドルフ…唇を噛み必死に声を抑える刀機…
…うぁ…も…もう…駄…目…だ……
薄れ行く意識で刀機は敗北を悟るしか無かった…
そのVIPルームの前…
刀機が入ってから心配そうに扉を見詰めていた華奈美、そして気にしながら仕事するひかるえった…
気にしていたからこそ二人はいち早く変化に気付いた。
突然座り込む…と言うか崩れるように床に突っ伏す華奈美に、只ならぬ気配を感じ取り駆け寄る二人。
「華奈美ちゃん!!…」
華奈美の様子は異常な程汗をかき、身体は風邪を引いたように熱くなっている。
ひかるもえったも、直感的に見たのは…VIPルームの扉。
只の直感かもしれないが、何か刀機の身に起こった気がする。
その時、二人の側でガチャリと言う音。
店長がVIPルームの鍵を開けた音だった。
「その娘を連れて入んな…確かめてくるといいわ…」
流石は修羅場を潜り抜けてきただけあって感づく所があるのだろう…ニヤリと笑い二人を促す。
二人は顔を見合わせてすぐに店長に向き直ると、頷いて華奈美を抱えて中に入ったのだ。
中に入ると、ソファーに寝かされている刀機と、その前で立ち刀機を見詰める倶利伽羅…ひかるえったが入ってきたのに気付き顔を向ける。
「来たか……」
「どう言う事なんです?、これは…」
冷静な口調で言うのはえった。
対する倶利伽羅は無表情で見返す。
「刀機真奈美と栗原華奈美は…本当の意味で刀機真奈美と栗原華奈美になる……これで陰と陽が全て揃った…」