香港国際学園〜第二部〜 357
サラは水嶋流、有田美夏、烏丸倉之助の共同戦線が…音無次郎を説得に当たっている所を目撃したそうだ。
「じろたんの返事は?」
「ぱららららっ!…デシた。」
鉛弾で回答した後、何処かに潜伏しているようだ。
「…つまりアタシたち奴隷ズ以外は…
『流、美夏、倉之助の共同戦線』
『単独行動の音無次郎』
『影井京平、消息不明』
…という勢力が存在するのねん?」
…と羽音の解説…。
雪菜が両脇に吊った私物の拳銃(他の連中は大体が学園のレンタル)の弾倉を確かめる。
「…最後はウチらでやり合うんでしょ…?」
「・・・やり合わないよ。」
『???』
突如出た羽音の一言。
彼女はトカレフを2発、3発と予告無しにぶっ放す。
近くにいたサラが避け切れず、吹っ飛ばされる。
「何をするの!」
「いつもいつも光樹を未来ちゃんばかり食べていて、私たちは脇役扱い・・・。
この際、未来ちゃんもあなたたちも倒して、私が光樹を独占するの!」
「あんた、以外と独占欲、高かったんだ・・・」
雪菜の猛抗議に、怪しい笑みを浮かべ、トカレフ二挺を構える羽音。
・・・狂っている・・・。
冷や汗を浮かべ、雪菜は感じた。
・・・サラは動かない。
「……てな感じでやり合っても何のメリットもないから……みんなで光樹の役に立てなきゃ奴隷ズの価値無し……だからやりあわないの、とりあえずサラ起きといで」
羽音がそう言うと、ムクリとサラが起きてくる。
よく見るとライフゲージは減ってない……羽音のブラフだったようだ。
…微妙な空気を破ったのは量子だった…。
「てゆ〜かぁ。
先ずは四人で他の子やっつけて…細かい事はそれからでいんじゃない?。」
何処か殺伐としているが的を得た意見…。
量子は積極的な主張こそしないが、客観的に分析する事にたけている様だ。
「んで最悪…あたしらの中で誰かひとりでも生き残れば…それが『奴隷ズとして』の勝利じゃない?」
…互いを信頼しつつ、必要とあれば友の屍を乗り越える。
信念はひとつ…量子は銃座についたまま誇らしげに胸を張った。
「そうねん…それはあくまで最悪でも…。」
と羽音。
「だいたい、合格なのは1人と決まった訳じゃないのよん……だから、まずは目先の数を減らしていくのが肝心……わざわざあたし達が争って、相手を喜ばしてあげる必要はない訳なのよん」
羽音は弾を込めていないトカレフをポイッと捨てると、何時ものようなお気楽な調子を混ぜつつ喋る。
「みかんちゃん所はキョンキョン(影井京平)が加わっても一枚岩じゃないから……どの道、攻勢に出ないと絆を維持できないのよん……持久戦になるとお互い寝首狙らわれかねないからね……」