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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 338

「どうなっていますか?
少しは取り調べが進みましたでしょうか?」

取調室の扉から出て来たのは切れ長の瞳が印象的な青年。

彼こそ、取り調べの鬼と呼ばれている風紀委員会の円城寺一馬。
「おおっ、円城寺君。
まだ辺里影汰には取り調べをするべきだろう?」

一馬は教頭を一瞥しただけで、事務的に話す。
「ご心配なく。
教頭のご指示が無くとも、
私たちに『辺里影汰』の罪を取り調べろと、
風紀委員会が決定しています。」
「ムムム・・・
儂が何と言おうとも、貴様らにとっては上の命令は絶対、というわけか・・・」
…その一言に一馬の視線が若干鋭くなる。

「なお風紀委員会と学園警備の見解では、あくまで辺里影汰の取り調べはテロ容疑以前…生徒間での『テロ防止措置指導』に過ぎません。
教員としての責任感から取り調べに申し出て頂けたのでしょうが…本来教員の介入は越権行為として処分の対象となります。」

…近頃のガキ共ときたら生意気な…

「尚且つ風紀委員会の掲げる正義は…お上がどうのと権力の強弱で揺らぐ代物ではありません。」

一馬に悪意はないのだが、教頭先生には『使えねっ帰れ!』ぐらいにしか聞こえていない。
「貴様・・・儂を愚弄するのか?
最近の理事長といい、教員といい、果てはあの校長まで・・・
全て学園の秩序が曖昧なまま、
なあなあで済ませるいい加減な体質に変わったではないか!」
「ではどうしろと?」

影汰は一馬と教頭が言い争っている間に、
逃げ出そうとしたが・・・
その場を逃れられない。
一馬は顔だけを器用に影汰に向け、話す。

「ああ、そうだった。
取り調べ中に逃げることの出来ないように、
君の周り四方にに微弱な結界を張らせてもらったよ。
いかなる能力を使っても、これは破れないから諦めるんだね。」
見下したような一馬の瞳。
影汰には、
「動けない」と分かっていても、暴走プレイ以外は正当な事をしたと思っている為、
このように閉じ込め、尋問を受けることに屈辱感を感じていた・・・。

一馬は影汰が動けないのを確認した後、教頭に顔を向ける。

「それで教頭。
先程の理事長等に対する発言は、心に留めて置きますね。」
「勝手にしろ!」

怒りの余り、取調室の扉を乱暴に閉めた教頭の方向をちらっと一瞥した後、
一馬はインカムで何か指示を出す。
そして、影汰に何か言おうとした時・・・
新たな騒ぎ声が聞こえて来た。
「面会か…少し待ってもらってくれ、彼の容疑は解けた旨を説明すれば落ち着いて頂ける筈だ。」
遠くから響いてくる猛獣の様な雄叫びの主を理解している様だ。

「手を出したまえ…今言った通り、ここから先…君を犯罪者扱いする気はない。」
…円城寺一馬は懐から鍵を出す…手錠の鍵だ。
「手錠を外した途端…撃つかもしれませんよ?」
構わず影汰の手錠を解く。
「君は卑怯討ちをする人種ではないと認識している…仕込み銃の任意提出も確認済みだ。まぁ掛けたまえ。」
一時考えた後、影汰は肩の力を抜き一馬に従う。

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