香港国際学園〜第二部〜 325
そうと決まれば行動が早かった。
怒りに任せた攻撃は、単純で深い読みが必要無い。
ただ突っ込んでくる二人の攻撃を、最小限の行動で回避し、
そして横から、その丸太のような筋肉質の腕を巨大化させ・・・
フック、いやハンマーパンチで叩き下ろす!
「オラアッ!」
一発、二発と。
予想もしなかった圧力に、○○君と××さんは叩き潰された!!
ゴスッ!ゴリゴリゴリ・・・
・・・数秒の後・・・
二人が動かなくなった後を確認しようとした合間に、
ふと自陣の状況が気になって、ジョーは目を向けた・・・。
「畜生…いつの間に…。」
…既にハードゲ〇小笠原春斗が、人質エリアまであと僅か…という所まで到達していた。
「うう…状況は…?」
…気絶から覚めた流、既に女王様の呪縛は解けているようだ。
インカムでマネージャー…未来達から全般の戦況を確認…。
ジョーと倉之助は女王様の使い魔二匹を撃破、手は空いていた。
ひじりが女王様と交戦中…陣は1-D側に攻め込んだものの百太郎の迎撃に阻まれている…。
人質エリア付近…ハード〇イに一番近く、相性からいって対抗出来るのは(かなり不本意だが)…流自身だった。
自分の不手際で不利を強いられている以上私情を挟む訳にも行かなかった…。
ジョーと倉之助をひじりの支援…女王様への集中攻撃に向かわせ、流自身はハー〇ゲイに追いすがる。
…あうぅ…何が悲しくて変態の尻なぞ追わねばイカンのだ…
「セイセイセイ!捕まえてごら〜ん!」
「うるせーっ!」
やたら健脚な〇ードゲイ…人質救出後に引き返してくる所を迎撃するしかなさそうだ…。
人質は自陣に戻るまで積極的な行動が出来ない…味方に手を引かれて走る程度…そして、それを連れ帰る選手にとっても、かなり足手纏いなのだ。
つまり相手が高ランク能力者でもそこが狙い目。
金大地の様な蹴り技(テコンドー)等…何かしら手を使わず攻撃出来る能力か、1-Cの魔女(本名:山田)が箒で飛べる様な機動性に優れた能力者でない限り、単独での人質救出は非常に危険なのだ…。
『何でワシらに例えるん(大地)』
『それは…臓物と臓物の…あ・か・い・い・と(山田)』
『ヒイィィ!?(大地)』
『あぁん、いけずぅ〜。(山田)』
「なんか今…悲痛な叫び(脳内)みたいのが聞こえた様な気がしたんだが…。」
人質を連れた春斗に迎撃体制の流。
・・・気にしないでおこう。
ある意味現実を逃避しているが、今はともかくあのハードゲイをどうするかに尽きる。
・・・余談として実際、現在出番の無い大地は応援に行く途中、山田さんに見つかり、追い回されていたりする・・・。
思考を巡らす流。
その間にどんどん逃げて行くハードゲイ。
流は脚の早い彼を捕まえる為に、ポンプに溜まった水を操作し始める・・・。
出来れば奴をどうにかしたい。
そのために、水温を0度近くまで下げ・・・
作り出したのは、カウボーイの使うような、円形のロープ。