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香港国際学園〜第二部〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜第二部〜 323

「役に立たない仔犬ちゃんねえ。
所詮、戦力となるのは私とペットに匹だけ・・・」
『おいっ!俺(拙者)の存在は?』

自分よりも目立つ者をとことん嫌う女、音宮裕子。
当然、アインと百太郎なんか気に入らないので、
とんと無視している・・・。

「さあ、より取り見取り・・・。
かわいい私の仔犬ちゃんたち!
とっととA組のザコを蹴散らして来なさい!」

おい、大丈夫か?

何か、言ってはいけない事を言ったみたいで、
真の顔が、悪い物でも食べたかのような顔をしている・・・。

「百合安君、アールグレイを濃いめで・・・。」
…ことに、この音宮裕子…武道の経験こそないものの、格闘センスは目を見張るモノがある。
指揮能力も高い筈なのだが…御覧の通りの女王様…協調性の欠如。

反面…風雲寺楓は戦闘力、指揮能力こそゼロに等しいが、その健気な性格のお陰で人望は厚かった…。

1-C戦までの圧勝の鍵は実質、この二人のバランス…チームワークを重んじる真は頭を抱える…。

「大丈夫…皆、勝手ばっか言ってますけど…キャプテンが大好きだから…貴方の号令ひとつで…ね?」
百合安くんはアールグレイにチョッとだけブランデーを垂らす。
「もっと皆を…誰より自分自身を信じて下さい…貴方はそれだけの事をしてきているんですから。」
百合安くんの屈託ない笑顔に、真はやれやれと肩をすくめる他なかった…。

「わかった…わかったよ…」

マネージャー達を通し、メンバー全員に隊形を組み直すよう指示を出す。
真自身は、再びオープン回線で…作戦ではない、彼自身の意思を伝える。

『…君達は、我こそがが一騎当千の猛者だと自負していると思う…そんな仲間を持てて僕は光栄だ。』

バラバラに…散発的な戦いをしていた1-Dに動揺が起こる。
力尽きた代門を運ぶアインが、陣に追い縋る百太郎が…高笑いを上げる裕子、怪しい踊りで炎を放つ春斗が…真の声に耳を傾ける。

『自分を第一に思う気持ち…その有り余る強い意思を他の誰か、クラス全体の為に…分けてくれないかな?』

戦いの最中とは思えぬ、我儘な子らを諭すような言い回し…。

『う〜ん…僕は盤上の作戦というか、悪知恵は働くみたいだけど…君達と違ってケンカは出来ない。
だから今は、1-Dがひとつのカラダ…一体になって…僕に力を貸して欲しい…以上だ。』

一瞬、静まりかえるスタジアム。
…音宮裕子が…この試合初めて自らインカムを手に取った…。

「剣くんっ!貴方が最終防衛ラインです!わかって?」
『承知!…今、追い付いた!』
百太郎に陣の追撃を命ずる…間もなくしてアインからの通信が入る。
『音宮くん…代門くんの亡骸?は安全な所に避難させたぞ…。』
「わかりました…三番コンテナのハンマー『アキレスのカカト』毎分五発で射出なさい!」
『了解!復讐の女神フレイよ…ヴァルハラで会おう!』

相変わらず高圧的な言い回しだが…一人一人を百戦練磨の兵(つわもの)と信頼した響きを感じさせる。

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