香港国際学園〜第二部〜 217
…団体戦における一騎打ちは、決着のつかない無益な戦いが続く事を防ぐ為の補則ルールである…。
ふとスタジアムを見ると早くも神樹天地が入場、割れんばかり天地コールが響き渡っていた。
「勝算だけでなく…大衆の心を掴める者を神輿に乗せたか…。」
ここまでの戦いぶりから行けば1−A側でも、光樹や影汰も英雄的ではある。
しかし貞盛雷はたった2発の銃弾による逆転と(半ば偶然とはいえ)派手な演出で、元々評判の高い神樹天地を神懸かり的な存在に祭り上げた。
…今更、その手の小細工は無用勝てる奴を出す…。
そんな刀機の思惑とは裏腹、というかお構いなしの連中がいた…。
…各種報道機関である…ここは週刊ゲンザイ編集部…。
見出しに『大海を割かつ勇者!神樹天地!』。その他…身を挺し雪菜とサラを庇う光樹…鬼気迫る表情で銃剣を突き立てる影汰…派手な戦闘シーンが重点的にピックアップされていた。
片隅では『元ヤンキーキレた?音無次郎ご乱心!』『九尾霧子!試合中まさかのポロリ(袋とじ)!』『ワタシ三人目ダカラ…!校長先生そのヒト誰?』といった記事の編集が行われている…。
もちろんパパラッチ部の関わった雑誌だというのは、説明するまでもない。
「おい、記事の証拠は取れたか?」
「いえ、肝心の用務員さんと警備員が捕まらなくて・・・」
「何でもいい、これで立花先生の記事以来のScoopが出来上がるぞ、急げ!」
とまあ、本人のプライベートなんか関係無しの、噂話が出来上がっている・・・。
また現場に戻ってみよう。
まだ決めあぐねている刀機。
「あのカリスマ性に対抗するには・・・」
その時、考え込んでいた華奈美が、思い付いたようにこう言った。
「ねえ、いっそ真奈美ちゃん自身が出てみてはどう?」