風紀委員Girls! 62
旬は一息ついて体勢を立て直す。
「…お前、そのちっこい身体にどんだけ力があるんだ」
「ちっこいゆーな」
「だって本当だろ」
「…気にしてんだから」
舞と旬はそう言いながら、旬の家へと向かうのだった。
「おばあちゃん寝てるの?」
「ああ、あの騒ぎがあってから、すっかり体調崩しちまってな…」
「あの野郎…」
佐伯裕樹を思い出し…舞の中で再び怒りが沸いてくる。
「俺も迂闊だったんだ…佐伯がばあちゃんに手を出してくるとは、思いもしなかったからな…」
「今日の中山剛といい、青海は卑怯な奴ばかりよ…」
「青海だからってことも無いさ、黒獅子にだってああいう輩はいるさ…」
旬の言う通り、確かに青山ノブアキはいい奴だった…
「佐伯のような奴がいるから、俺たちも争わないといけなくなるんだ」
「…本当は争いたくない?」
「ああ、俺はトップになんかなるつもりなんてなかったんだ…」
そう話しているうちに、旬の家に着いた。
「まあ、寄ってけよ」
「ありがとう」
今にも崩れ落ちそうな錆びた階段を上がる…。
「ボロアパートで驚いただろ?… 雨が降ったら家ん中で傘がいるんだぜ…」
舞は言葉を無くした…
そして次には込み上げてくるものを押さえられなかった…
「ごめんなさい…気のきいたことも言えないで…本当にごめんなさい…」
ボロボロと大粒の涙を零す舞に、旬は最初は驚いたが
「何でお前が泣くんだよ」
「だってぇ…」
旬は舞の肩をポンポンと叩く。
「辛くないの?」
「そう言えば嘘になるが、それはまあ、仕方のないことなんじゃないかなって、俺は思ってる」