PiPi's World 投稿小説

君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 1
 3
の最後へ

君の人生、変えてあげる。 3

―その翌日、授業が終わると、またしても僕は教室に残される。
…クラスのみんなの好意だから、面倒くさいことはないけどね。
それに、前の学校ではこんなことなかったからね。

「えーと、今日は何するんでしょう?」
とりあえず、目の前の3人組に尋ねる。
「たっくんに、この学校を案内してあげようってね」
「アスちゃん(=飛鳥)にも頼まれてるしねー」
「知っておいて損はないと思いますっ!」
「そう、だよね。みんなありがとう」

ちなみにこの3人組は
瀬戸川凜(せとがわ・りん)ちゃん、山岸歩(やまぎし・あゆみ)ちゃん、秦野伊織(はたの・いおり)ちゃん。
明るい子の多いクラスの中でも、特にテンションの高い3人だ。

3人の後について、校舎内を回る。
今日も半日で終わったため、生徒はまばらで、閑散としている。

音楽室や物理・生物・化学室など授業で使う教室に、視聴覚室やパソコン室といった特別教室、体育館・武道場という体育の授業で使う場所、さらに図書室や保健室の場所も教えてもらう。

「そして、こちらが食堂になります」
凜ちゃんが指差す学生食堂。
さすが私立校、食堂もあるし、広そうだ。
「食堂のほかにも売店があるし、お弁当を持ってきてもいいんだよ」
「私たちは基本的に食堂を使ってるんだけどね」
歩ちゃんと伊織ちゃんもそう説明してくれる。
この途中にその売店があったけど、見た目はなんだかコンビニのようだった。

「そういえばたっくんさ、前の学校の食事とかどうだったの?」
凛ちゃんにそう聞かれる。
「前のところは寮だったからね。同じ時間に起こされて、同じ場所でみんなで食べるんだ」
「なんか軍隊みたいだね」
歩ちゃんが言う。
「学校のルールは軍隊みたいだったね、確かに…食事もそんなに美味しくなかったし、食事中も私語禁止だし。イジメとかいろいろあったのも原因だけど、あまり楽しくはなかったな」
「そっかー…」
「大変だったね、たっくん」
歩ちゃんと伊織ちゃんが神妙な顔で言う。

「まっ、うちはそんながっちがちに厳しいルールなんてないし。みんなが楽しいのが一番って考える学校だから、たっくんもきっと、満足できると思うよ」
「そうかもね。ありがとう、凛ちゃん」
この学校にはとりわけ厳しいルールはないし、何よりみんな明るいし、優しい。
とても頼もしいクラスメートたちに出会えたと、ここに来て二日目で確信した。

学校での一日を終え、家に帰ってきた。
思えば、家でゆっくり過ごす時間があるというのは中学以来、久しぶりのこと。
寮暮らしだった前の学校では、授業が終わっても気の休まる暇なんてなかった…むしろ、いじめは寮の中で起こることが多かったし。

「お帰り」
帰ってきた僕を優しく出迎えてくれる母・酒本真央。
僕の編入先として自分の母校を薦めてくれたある意味での恩人だ。

「どう?学校には慣れた?」
「うん、まあね」
「あそこだったら、いじめなんてないし、先生もみんな優しいし、大丈夫よ」
「うん、僕以外みんな女の子なのは、ちょっとびっくりしたけど…」
「あ、そうだったね。それを言うのを忘れてたわね」
え、母さん、一番大事なことだと思うよ、それ…

「聡美に、あなたの編入先を相談したときに、『私の学校で預かってもいい?』って言われたの」
香椎聡美さん―母さんの親友で、あの学校の学園長。そして、僕のクラスメート・茉莉菜ちゃんのお母さんだ。
「最初は不思議に思ったよ。女子校なのに…」
あ、やっぱり女子校だったのか、あそこ。
「でも、聡美が言うには『将来的には共学にしたいから、テストケースとして息子さんを入れて欲しい』って言われたの。それなら、と納得して、あなたに薦めたのよ」
僕、実験台だったんですか…とは思ったけど、これからのことを考えると、それもよかったのかもしれない。

「周りがみんな女の子で戸惑うかもしれないけど、前の学校のようなことは絶対ないから、私も拓真を安心して入れることができたのよ」
「うん、僕も、よかったと思う。みんな優しいし、いい人たちだし」
「それならよかった。これから頑張ってね」
「うん」

SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す