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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 93

春田自動車も会社管轄のこうした観光向け地域に別荘・保養所を置かせて貰う為、提携企業を通してお祭りへの人員を割いているそうだ。
お手伝いさんが裏方で慌ただしく飛び回っているのもそうした都合だろう。

僕の危惧していた部分、乗っ取り計画と誤解した第一村人が余所者を見るや、石を投げてくる様な絵面しか浮かばなかった。

「古いドラマの再放送なんかじゃ『おいこらトーキョーモン!』なんてありがちな話ですけど…。」
「そういうのを未然に防ぐのが、そうなる前からの現地との交渉・交流で…。」

ハヤトさんは企業進出vs観光地、互いの利益を尊重しながら丸く収める方針をざっと説明する。
余計な事はしない、必要な時に頭数を差し出す、現地が儲かる方向での見返りを保証する…まぁそんなもんらしい。

企業の地域貢献活動、今の世の中では当たり前になったことだが、春田グループがこれを始めた当時はまだ一般には浸透しておらず、何か裏があるんじゃないかと勘繰られたりもしたと言う。
血と汗のにじむ努力をした末、今のように市民権を得たのである。

「…」「…」
そんなハヤトさんの説明、歩さんと小坂井姉妹はポカンとした表情で佇む。
彼女たちの頭上にはおそらく?マークがたくさん浮かんでいることだろう…

彼女らも武芸を嗜む者、客として余所へ立ち入る礼と客を迎え入れる礼、そうした理屈は習っている筈。
しかしそれ以前に彼女らは武芸者としてよりも女子高生の要素が色濃いのだ。

只でさえ武道の礼節も単にスポーツのルールとされる形式化、それらの元々の意味を知る者も、現代人に合わせて説明出来る者は減りつつある。

そこへ亜里沙さんが困惑気味な小坂井姉妹に僕とハヤトさんの話を『通訳』していた。

「例えば、知らないオジサンが貴女の町に来ました、どう思いますか?」
「不審者!」
「通報だ!」

…ってそういう次元から説明はバカにしすぎじゃありませんか亜里沙さんや。

「その理屈だと可愛いは正義を主張する女子高生でも、地元の人にとって知らない人が来れば『悪』です。」
「私達容疑者ッ?」
「通報いやだー?」

そうそう、大体その辺が僕の心配していた部分でハヤトさんが説明してくれた話。
ちゃんと伝わってるみたいだけど、なんかもう小学校通り越して幼稚園の先生と教え子みたいな絵面。

「でも大丈夫、ここでは地元民と外来者との橋渡しは済んでるそうですから、人並みの礼節を保っている限り何の問題もありません。」
「れーせつってすっげー!」
「れーせつってかっけー!」

亜里沙さんの説明で普通に遊んでて問題ない程度に要点のニュアンスは伝わってるみたいだ。
でも日本語会話としての意味は本当に理解してるのかな、この愛くるしい程のバカ姉妹ズは。

大体の説明が終わり、それぞれが思い思いの形でくつろいでいると、外でバイクのエンジン音が。
どうやら例のお手伝いさんが戻ってきたようだ。

「ご苦労様」
…ヘルメット姿で無言であやせさんに食材を渡していく彼…?いや、今の段階じゃ性別すらわからないな。
佇まいが英国の某自動車番組の覆面ドライバーのようだ。

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