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驀進!海賊女子学園ー Pirates of B×G ー
官能リレー小説 - 学園物

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驀進!海賊女子学園ー Pirates of B×G ー 12


「…あの〜…母さん?…」

「……リュウ!学園では理事長!航海では総司令官でしよ!!」

バシッ!!

「いたぁ〜!……ハイハイ!総司令官!」

「で、なに?」

「何で東国の国、ヒノクニへ向かうのですか?」

「………サンボルトに会いにいきます。」

「「サ、サンボルト!!」」

一同は驚愕した。

「何で、いまになって会いにいくんですか?」



「まずは海賊船の補強ね。それとリュウに会わせるためよ」


サンボルト……ハンマー・オブ・スティール(鉄槌)の異名を持つ天才砲術家であり、イングス随一の造船技師であり、そしてリュウの父である。

とはいえ既に第一線を退いて後進の育成に当たっているアーネットとは異なり、サンボルトは現役の海賊として技師として七つの海を股にかけて世界各地を駆け巡っている(ちなみに現在はヒノクニで海軍顧問として砲術を教えているという)。

ゆえにリュウは父と共に暮らした記憶という物が、幼い頃のほんの一時を除いてほぼ無かった。

数年おきに何の前触れも無くフラッと家に戻って来て数日間滞在し、また任地へと赴き、任期中は何年も帰らない。

最後に会ったのはもう十年以上も前の事だ。

記憶に残るサンボルトは一見女性と見紛うような優男で、性格は温和で物腰やわらか…リュウはサンボルトが好きだったが、父親というよりは“ときどき来るお客さん”といった感じだった。

「父さん…」

リュウは感慨深げにつぶやくと、アーネットに尋ねた。

「…しかし総司令、こうして学園の航海演習の一環として父さ…いやサンボルト氏に会いに行くという事は、家族として会いに行く訳ではないんですよね?」

「もちろん!リュウ、あなたはサンボルトに会って海賊としてのノウハウを学びなさい。滞在期間は短いけれど、あなたなら大丈夫。あなたは彼に似ているからね。もしかしたら次代のハンマー・オブ・スティール…いえ、それ以上のモノになるかも知れない。この事はイングス政府も承認済みよ」

確かに、リュウに流れるサンボルトとアーネットの血が遺憾なく発揮されればイングスにとっては大変に有益な存在となろう。
だが当の本人は…

「うぅ…予想以上に話が大きすぎて胃が痛くなってきた…」

「しっかりしてください、リュウ副船長」

「なんだか頼りないですわ…」

ジャネスとディースは心配げにリュウを見るのだった。



キャプテンジャネス号はイングス本島沖で待機中だった四隻の戦艦と合流した。

ブルードラゴン号
ホワイトタイガー号
レッドフェニックス号
ブラックタートル号

この四隻は姉妹艦で現イングス海軍の主力を担っている。

全てサンボルトの設計だ。

戦力、速力、繰艦性…全ての分野において優れ、サンボルトの船達の中でも名艦と呼ばれていた。

…ただ、優れ過ぎているがゆえに繊細で、整備が難しく、設計したサンボルト以外には手に負えないという、何とも困った代物なのであった。

この“四姉妹”と呼ばれる四隻ほどではないにせよ、サンボルトの設計した船達は多かれ少なかれ、彼の手でメンテナンスしてやらなければ、その性能を遺憾なく発揮できない。

このキャプテンジャネス号もそうだ。

アーネットは言う。

「本当ならレッドシャークマリン号も連れて行きたかったんだけどね…あの船も度重なる戦闘でかなり傷んでるから…」

「なぜ許可が下りなかったんですの?」

ディースが尋ねる。

アーネットに代わってジャネスが答えた。

「仕方ないわ。四姉妹が留守というだけでもイングス本島の防衛が危ういのに、この上レッドシャークマリンまで居なくなったらイングスは丸裸よ。そんなの海軍が許すはず無いわ」

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