新しい性活 3
姫野さんは僕を抱き寄せ、キスして言った。
「大浴場じゃなくて」
姫野さんは一呼吸置いて続けた。
「高等部のクラブハウスのシャワー室の奥に、浴室があるの。知らない?」
「はぁ、僕、帰宅部なもんで…でも…シャワー室の奥だと、やっぱり男子シャワー室なら男子しか行けないのでは?」
姫野さんはすかさず言った。
「男子シャワー室からも女子シャワー室からも行けるところにある」
「ええっ、男女共用のお風呂なんですか??」
僕はドキドキしてきた。
「まあそうかな。普段は『男子入浴中』『女子入浴中』という札で分ける」
何だ。それなら普通かな。
「でも、その札をはずして、鍵をかければ…」
僕たちは、液を軽く拭いて、トランクスもパンティーも着けず、Tシャツと短パンのみで、寮を出た。
思えば、僕と姫野さんが寮の外で一緒に歩くのは、はじめてだった。
僕は、姫野さんと出会ってからのことを思い出して、言った。
「思えば、同じ部屋にならなかったら、こんなふうに、一緒に歩いたりすら、できなかったですよね」
「そうね」
ここで僕は、今まで疑問に思っていたことを聞いた。
「姫野さん、この学園、何で、男女同室とか、あるんでしょうか?」
「…それはね」
姫野さんは、間をおいて、話してくれた。
「この学園、“男子とか女子とか、あまり意識しないように”っていう、教育方針があるの」
「…男子も、女子も、みんな仲良く、って」
僕は、この学園に来て門をはいった時に、男子と女子が手をつないだ銅像を見て「いまどき?」と思ったことをちょっと思い出していた。
それはそういう方針につながっているのか、とか、深く考えなかった。
「そうなんですか?入学のとき、そんな説明、全然なかったのですが…」
「そう。それを、それとなくやるのが、この学園の方針なの…」
「だから、生徒同士の恋愛は禁止、っていうような、一応もっともらしい規則が、あるのですね」
「そう…恋愛が入って特定の男女が仲良くなると、みんな仲良く、のバランス崩れるからね」
姫野さんは、ちょっと間をおいて、続けた。
「でも、さすがに、海峰大学では、もう18歳以上で大人だし、って、男女交際禁止ではないよ」
僕は、あの寮のまま、大学に進んだら…と想像して、ちょっと興奮してきた。
「じゃあ、そこで男女同室とかあったら…」
姫野さんはいったん軽く首を振って
「基本的に個室で…」
そして、暗いのでよくわからないが、にやりと笑ったようだった。
「でも、男子寮とか女子寮とか分かれているわけではないから、異性の部屋には行き放題で、二人が同意すれば、二人部屋もOKなんだって」
姫野さんはさらに続けた。
「それと、私もよくわからないんだけど、自主管理寮も、あるらしい。どんなふうになっているかちょっと興味あるわね」
僕たちはしばらくそのまま歩いた。歩きながらも、僕の頭の中は、いろいろな想像がぐるぐる回った。
しばらくして姫野さんはまた口を開いた。
「あと、初等部は、体力差が出る高学年の体育以外は一切男女の区別は無いんだって」
「そうなんですか…」
初等部……僕はちょっと考えた…初等部も、確か全寮制のはず…
「寮の部屋も、男女混合なんですか?」
「そう、結構大人数の部屋で、一年生から六年生まで、家族みたいに住んでいる」
僕はさらに想像を巡らせた。一切男女の区別がない…寮…
「じゃあ、お風呂もトイレも、男女混合なんですか?」
姫野さんは、ちょっと笑って、答えた。
「そう…まず、トイレは、女子は個室に入るから、そんなに違和感はないでしょ」
「…はい」
「お風呂も、たとえば、小学校一年生が男女一緒に入っても、おかしくない」
「はい」
「それを小学校二、三…と続けていくと、六年生が男女一緒に入ってもおかしくない」
「そうなんですか?」
「家族のように住んでいると、そんな感じみたいだよ」