陣陽学園〜Fight School〜 67
胸元に顔を寄せ甘え声で問う出流に、純華は言葉では無く、頭を撫でながら続けるように促す。
「全て解ってセーラー服を渡したんですか?」
その問いに答えるで無く、純華は情事後の一服とばかりにくわえ込んだ煙草を手に取り、天井目掛け紫煙を吐き出す。
「出流は・・・」
少し間を開け、ようやく純華は言葉を発する。
「小夜子と母親が憧れであり目標だったんだよな?」
「ええ・・・」
純華の問いかけに少し考えた出流だったが、彼女の問いの意味を理解し微笑む。
「はい、母さんや姉さんのようになるのが憧れで目標でした・・・」
それが、出流の偽らざる気持ち。
出流の八霧家は代々続く由緒ある柔術道場。
百合子の実家、皆藤家と同じく名門中の名門とも言える。
出流の母は跡取り娘。
出流の父を養子に迎え、小夜子と出流を生んだ。
待望の男子たる出流に対する周囲の期待は大きかった。
生まれながらにして、跡取りとしての教育が始まったのだ。
男子として、後継者として・・・
彼は徹底的に鍛えられた。
体格には恵まれなかったものの彼は天賦の才を持ち合わせていた。
その才でメキメキと腕を上げ、道場の高弟達を追い越し、当主たる母や小夜子に匹敵するレベルに達した。
そして、高校生になった今、八霧流柔術と言う『型』の中ではほぼ最強と言っていい存在にまでなったのである。
だが、それは八霧流柔術と言う『型』の中の最強であったと思い知らされる結果となった。
この陣陽学園で・・・
型にはまり過ぎた故の弊害。
そして、屈辱にまみれた中・・・
出流は己の闇と向かい合う事になった。
そして、その闇の先こそ己の型を破り更なる高みがあることに気付いたのだ。
そして、それを理解した上で出流は問う。
「小夜子姉さんは・・・自ら劣等へ行ったのです?」
導き出した出流の答えを、表情帰るでなく、その頭を撫でながら聞く純華は一言答えを返す。
「ああ・・・」
その答えを理解した出流は、次の言葉を発した。
「姐さん・・・劣等に行かせて貰えませんか?」
出流の答えに純華は驚かなかった。
それどころか低く笑う。
「全くもってお前たちは姉弟なんだな!・・・もしかしての準備で女装させたが、こんなに早いとは思わなかったぜ!・・・行ってこい!、探してこい!そして二ヶ月以内に戻ってこい!」
煙草を灰皿に捨てしっかり抱きしめて純華は言う。
「二ヶ月?・・・」
「ああ、二ヶ月だ・・・お前のチ◯ポ切られたらアタシが楽しめない!」
劣等でどう扱われるかは出流もまだ覚悟ができてる訳でない。
潰されたと言え男としての格闘家としてのプライドが残っている。
だが、それこそが己の弱点であることも理解していた。
そしてまだ、己の心の闇は全て見えていないし受け入れてもいない。
「はい、立派に勤めて参ります!」
出流はそう言い、次の日に劣等へと堕ちていったのだ。
・・・陣陽学園劣等科校舎。
古城の西の丸を改装したこの区画は、陣陽学園でも独立した場所となっている。
周囲を堀で囲まれ、出入り口は本丸及び城外の二箇所。
両面共巨大な櫓門で仕切られ石垣も高く、まるで独立した要塞のようになっている場所だ。
その建物の並ぶ一角。
かつてはこの城の牢獄だったという場所。
中に入れば牢獄のようなそこの一角の檻の中、全裸の数人の美少女達がいた。
皆、一様にその表情は暗い。
いや、絶望しきった表情と言っていい。
その檻の入口が開いた瞬間、美少女達は怯えて震えるが、入ってきた全裸の少女を見てホッとした表情を見せた。
入ってきたのは絶世と言っていいレベルのロリフェイス美少女。
そんな顔に似合わずダイナマイト爆乳。
情事の後なのか全身を白濁に染めていた。
「さてとシャワー、シャワー」
暗い少女達と違い、屈託ない明るさで言う美少女。
部屋の脇にあるむき出しのシャワーに向かう。
「プライドも・・・無いのかよ・・・」
彼女の通り際に少し長身グラマラス少女がハスキーボイスで吐き捨てるように言う。
その声にロリ爆乳少女は怒るどころか微笑んで言う。
「セックス好きだしね!」
身も蓋も無い少女の告白と真っ直ぐな瞳に、グラマラス少女が一瞬たじろぐ。
「それよりさ・・・そうやって不貞腐れてチ◯ポ切られて風俗で食ってくつもり?」
ロリ爆乳美少女の問い。
彼女の股間には小さいながらも男のシンボル。
それはこの少女だけでなく、グラマラス少女や他の美少女にもついている。
ニューハーフ、シーメイル、男の娘・・・
彼女(彼)らはそう呼ばれる存在なのだ。
「お前みたいに強くも図太くもないんだよ・・・八霧」
そう、このロリフェイス爆乳美少女こそ八霧出流なのである。
劣等へ堕ち、女体化コースに振り分けられ一ヶ月。
もう股間以外は女そのものだ。
「扇谷くんは戦わないから弱いだけじゃない?・・・あそこのアキちゃんすら戦おうとしてるのにさ」
アキちゃんと言われたのは、出流と同じぐらいの背丈の小動物系。
胸の膨らみはしっかりあるがやや控えめ、男のシンボルは皮被りながらなかなか。
よくいるいじめられ子のような気弱な子が一心不乱にトレーニングしてた。
「ねぇ、扇谷くん・・・」