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香港国際学園
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園 71

その頃、立花理人、桜美咲、風堂剣護、一条瞳の4人は裏庭にいた。
その四人の中で最初に気配に気付いたのは理人だった。
振り返ると2人の人物が立っていた。まったく気配も感じさせずに・・・
もし彼らが攻撃する気があれば、4人は甚大な被害を受けていたであろう。その事に戦慄を覚えながら理人はうめくように声を絞り出した。
「公元主姫・・・」
「ごきげんよう、伝説の元少年兵さん達」
場の緊張感とは程遠い優雅な挨拶。その横で刹那が興味深そうに4人を見ていた。
「・・・何の用なんだ?!」
剣護が凄むが、主姫には全く通じず剣護にむけて笑みさえ浮かべる。
まるで、幼子の我侭を嗜める母親の表情であった。
「野郎っ!」
怒りに任せ剣を抜き斬り付ける剣護。
しかし、剣護の凄まじいまでの斬撃は主姫にかすりさえしない。いや、主姫が避けていると言うより、まるで剣護の斬撃が主姫のいない空間を狙っているようであった。
「折角の切断の能力も・・・当たらなければ意味がありませんわね」
あくまでも優雅に、髪さえ乱れさすことができず、剣護の息だけが上がっていた。

「糞っ!」
苛立った表情で構えなおす剣護の前に理人が立ちはだかる。
「俺がやるさ!・・・変わろう」
「ふふふっ・・・貴方の能力は存在確率ね・・・本気でいらっしゃい」
まるで理人も意に介さない主姫の態度に、理人のリミッターは外れ凄まじい殺気が迸る。
「本気になった限り、俺に負けはない!・・・丁度自ら出てきたんだ、倒せば全てが終るぜ!」
リミッター解除の上、存在確率100%・・・勝利を確信した理人は、凄まじい速さで銃を抜く。が・・・
「がはぁーっ!」
感じたのは腹にとんでもない衝撃。主姫が近付いた事も、腹に一撃を加えられた事も、理人には捕らえきれなかったのだ。
「素晴らしい能力ですわ・・・でも、貴方の100%の力がわたくし以上でないと意味がありませんこと?」
まるで何でも無いように言ってのける主姫。
「納得できないのでしたら・・・わたくしの存在確率を下げてみますか?」
微笑みながら手を差し伸べる主姫・・・理人は主姫を睨み付けながら手を握った。

「存在確率10%だっ!」
「あら、そうですの?・・・10%以下はできませんの?」
まるで意に介さないように主姫は言ってのけると、今度は首筋に強烈な手刀・・・それも理人は反応できなかった。
うめきながら地面に突っ伏す理人に、幼子に言って聞かすような優しさで主姫が言葉を発した。
「残念ですわ・・・10%でも差がありすぎましたわね・・・」
残りの3人も圧倒的な実力差に呆然とし、なすすべもなかった。
目の前にいる美貌の令嬢が、見た目通りでは無く、この学園の生徒会長である理由を無理矢理分からされた。
「ばっ・・・化け物!・・・」
瞳の呟きはまさしく的を得ていた。
戦場でも体験したことが無い、凄まじいまでの威圧感と恐怖感・・・勝利の可能性が無いのでは無く、勝利などと言う言葉を使ってはいけない・・・それほどまでの差であった。
「わたくしを化け物と思うのであればまだまだですわ・・・貴方達は己の強さに酔い、成長することを止めてしまっていませんか?・・・残念ですわ・・・」
まるで興味を失ったように、くるりと背を向け去ろうとする主姫・・・刹那は打ちのめされた4人を楽しそうに見ながら主姫の後に続いたのだ。

「鍛え直すぞ!!」
回復した理人は開口一番そう言った。
「舐めすぎてた、いくら、30%の力で相手したからって、あの強さはねぇよ。」
「え?理っちゃん、本気じゃ無かったの?」
美咲は理人にすがりながら聞く。
「理人が、真の力を出すときは、マジギレした時さ。でも、そうなったら正常な精神もふっ飛ぶから、敵って一度認識したら、味方でも襲うからなぁ。」
「そうなるのが嫌なんでね、普段は抑えてるんだ。」
剣護の説明に理人が付け足す。
「とりあえず、正常なままで100%の力をだせるようにならんと・・・あと、あの能力も使わにゃならんかもな。」
理人はそう言うと、足早にどこかに消えた。
「誰でもいいから才英守っとけ。」そう言うのこして。
その頃、主姫は刹那と歩いていた。
「カカカカカッ!!さすがは生徒会長。伊達じゃないねぇ。」
「もう少し、出来ると思っていたけどね・・・」
刹那に主姫はそう返す。
「甘く見ないほうがいいぜぇ。あれでもまだ、奴は本気じゃない。本当の理人はな。本当に怖いんだ。」

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