PiPi's World 投稿小説

香港国際学園
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 27
 29
の最後へ

香港国際学園 29

・・・それから暫く後、体育館の裏側にある小山、通称『裏山』を間野甲良率いる完全装備の風紀委員が包囲していた。
風紀委員は格好こそ学生服だが、その上からボディーアーマーを着込み完全武装・・・通称『装甲擲弾兵』と呼ばれるモードに入っていた。
「甲くん・・・きたよぉ〜・・・」
間の抜けた声で、裏山前の仮設指令所に陣取る甲良の目の前に現れたのは『美化委員長』で3年の花藤冬真(カトウ トウマ)であった。
「おうっ!・・・裏山ブービートラップだらけで進めん。協力頼みたい・・・でな、『甲くん』はやめいっ!」
「いいじゃん、可愛いし・・・まあ、公主様から甲くんの指揮に入るように言われてるからね」
実は美化委員、花や草木と清潔を愛する生徒で構成されているが、こんな学校だけあって爆発物処理や罠の解除のエキスパートでもあるのだ。

「ふん…あいつも何考えてんだかなこういうのを度が過ぎるっつーんだよ…この俺様が一人いりゃ十分じゃねえか。あ、あとな冬真、この騒ぎが終わればちゃんと罠は取り除いとけよ!一般の方々に迷惑かけちゃいかんぞ!」
「そういう話は騒ぎが終わった後に聞くよ」
甲良はあくまで秩序を愛する男である。だからこういう事態が発生すること自体気に食わなかった。正直、腹が立っていた。「委員長!今泉碧御堂勇牙、肉眼で発見しました!」「あ!?御堂も居やがるのか?」
甲良の苛立ちは一瞬で消し飛んだ。
「アイツ馬鹿だな・・・折角口頭注意ですんでいるのに・・・」
そう言いながらも楽しそうな甲良であった。
「今泉茜も確認したわ・・・これで裏山には標的が3人ね・・・」
現れたのは軍の特殊部隊の装備で、黒いベレー帽を被った総務委員を引き連れた円城寺朔美。
通称『ブラックベレー』と呼ばれる総務委員の中の実戦部隊であった。
「総務委員21名も貴方の指揮下に入れと命令です・・・あと会長より『車両使用許可』も出ました・・・それと校長よりの書簡です」
「しかしまあ・・・3人如きに風紀102名、美化16名、総務21名、それに機動部隊まで・・・豪華な事だな」
半ばあきれながら甲良は書簡に目を通す・・・そしてニヤリと笑うと本部のマイクを取った。
「全員、待機のまま聞けっ!・・・この作戦に校長より内申書アップの御褒美が付いたっ!・・・者共励みやがれっ!」

おおっ!!!・・・

甲良は優秀な指揮官だし部下の信望も厚い・・・しかも褒美が付くとあって隊員の士気はいやおうにも上がったのである。

「しかし、御堂の監視をしている筈の黒田はどうしたのでしょうか?」「バカか!御堂が相手で監視をしてないって事は、答えは一つだろうか!」
朔美の質問を軽くあしらう甲良。
その答えは勿論
「やられたんだ。あいつが本気を出せば鋼鉄でも一瞬で溶けるからな。黒田ってのが使ってたのはサーベルなんだろ?切る前に溶ける。近接戦闘は自殺行為だし、銃弾でも当たる前に消えちまう。その上炎も電気も効かない。…あいつは強い…」
甲良にしては弱気な発言である。が「俺様よりは弱いがな!」
と、付け足した。「言うと思った」冬真が呟いた。
「委員長っ!・・・裏山山頂部に今泉姉妹、御堂勇牙以外の人影があるようですっ!」
斥候に出ていた総務委員の密偵が報告に現れた。
「んー・・・他の要監視生徒か?」
「いえ、雨宮夜栄の一派は、寮の一室で集合しているようですが現在動いていません」
甲良の問い掛けに朔美が代わりに答える。
「うーん勇牙くんの友達じゃないの?・・・わりと人望あるし」
「ふんっ!、全くもって酔狂な連中だぜっ!」
今度は冬真の答えに、甲良は悪態をつき裏山を睨み付けたのだ。

・・・冬真の指摘通り、山頂には今泉姉妹と御堂勇牙、そして御堂の子分達10名ほどが下を見下ろしていた。
実は御堂の子分、今泉姉妹のシンパであるし、なによりも勇牙のためなら停学も辞さない一騎当千の強者達であった。

SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す