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香港国際学園
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園 30

今泉姉妹、勇牙、そして子分達・・・全員この戦いに勝ち目が無い事は分かりきっていたが悲壮感はまるで無い。
むしろ戦いを心待ちにしているようなようにさえ見える。
「兄貴っ!・・・アイツ等、蟻ンコみたいにどんどん増えてるやん!」
そんな中で、男口調の関西弁で勇牙に言ったのは、古代中国の武具、方天画戟を構えた小柄な少女であった。
少女は御堂勇牙の妹で1年生の御堂凛(ミドウ リン)である。
別に御堂家は関西在住ではなかったが、父親は純粋培養の大阪人・・・勇牙は伝染らなかったが、見事に凛は伝染してしまっていた。
彼女もまた勇牙と同じく炎を使う能力を持ち、己の方天画戟(凛は通天閣戟と名付けてる)に炎を宿し攻撃する事が出来るのだ。
ちなみに勇牙の子分達は全員、炎に関係する能力を持っていたりする。
「そうだな・・・ご苦労な事だ」
鼻で笑いながら勇牙も言い返す・・・絶望的な戦いであるのに、この兄と妹は特に楽しそうであった。

「さぁて、そろそろやりますか…場所は?」
甲良は体操をしながら訪ねる。
「エリアJ-12です!」
「了ー解。ぶっ潰してやりますか…対象に重力五倍。発動!」
空気が震え、ふっと視界がぼやける。炎で暖められた空気のように。
「ぐあうぅ!」
そして御堂の子分が突然、見えない手に押しつぶされたように地面に押しつけられた。
そう、甲良の能力は自在に重力を操作できることだ。
しかし、引っ掛かった人数は3人ほど・・・どうやら後は周囲に散ったようだ。
「ちっ!、すばしっこい奴等めっ!・・・まあ、そうじゃなきゃ面白くないがな・・・」
まだ余裕たっぷりに甲良はにやりと笑った。

その頃、裏山包囲部隊でもっとも突出した風紀委員第四装甲擲弾兵団10名は山頂にジリジリと進んでいた。
部隊長、新田善は『毒霧』を吐く能力を持ち、指揮能力のなかなか優秀であった。欠点と言えば功名心に逸り易く、スタンドプレーが目立つ事である。
この時も功名心から注意力を欠いてしまったのであった。

「とったでぇ〜!」
そんな彼等の頭上、木の上から降って来たのは御堂達と今泉姉妹であった。
その中で真っ先に御堂凛が炎に包まれた方天画戟を振り回し隊員をなぎ倒していく。
「しっ、しまったぁー!」
乱戦では自分の能力は使えない・・・その事に善と隊員達はパニックに陥ってしまった。

「新田が狙われたかっ!・・・援護にいくぞっ!」
隣に陣取る風紀委員第五装甲擲弾兵団、部隊長の遊佐健児(ユサ ケンジ)が部下に指揮し新田隊の援護に走る。
第五兵団は風紀委員中で最も勇猛果敢な精鋭部隊の一つであったが、部隊長以下思慮が足りない面もある。
その第五兵団の乱闘参入で裏山の激闘の幕が上がったのである。

「・・・やってくれるな・・・奴等っ!」
こちらも乱戦になれば能力の使いにくい甲良が苦々しげに呟く。
「御堂くんけっこう知恵回るからね」
冬真はのんびりと相槌を打つ。
「しかし、早めに手を打たねば相手の戦闘力も侮れませんし・・・」
「分かってる・・・これ以上好きにはさせんさ」
朔美の言葉に甲良は、裏山を厳しい目で見つめながら言葉を返した。

「全く、こんなに人数がいるから乱戦になるんだ。こんなんじゃ俺の力が存分に使えないんだよ。なぁ、後は俺一人でやるから、全員撤退させていいか?」
甲良が投げやり気味に訪ねる。
「駄目です」
勿論朔美は却下する。が、
「代わりに私が出ます」
と、一言。
あらま、と冬真が呟いた。

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