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香港国際学園
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園 25

「まずいな…」
勇牙は呟いた。もちろん黒田に聞こえないように。
今泉 碧を連れて来れなければ、恐らく自分が懲罰にかけれらる。
自分の無実を証明するには(といっても碧を匿っている以上、罪はあるのだが)碧を連れてくる、あるいは自分が碧を匿っていないということを証明できれば、もしかすれば罰を見逃してもらえるかもしれない。
それとも徹底抗戦してやろうか?
幸い自分は黒田という男の弱点が解っている。
確かに黒田が透明になれば体も、服も、武器(黒田の武器はシンクレアーサーベルというものだが)も消える。さっきから足音が一つもしないし、体臭もない。しかし、自分という物体をこの世から消した訳ではないのだ。あくまで周りの景色と自分を同色化しているだけだ。足音や体臭を消すように努力していると黒田は自分で言っていたが、それはつまり自分は透明になったとしても、物体的にはそこにあると言うことの裏付けだ。
そして、物体があるという事は、少なからず光を屈折する。
つまり黒田は透明になったとしても影ができるということだ。
「そうそう、言っとくけど・・・光の屈折ぐらい克服してるぜ・・・」
黒田と言う少年は、勇牙の考えを見抜いたようににやりと笑う。
「まさか?生徒会長様に逆らうわけがないだろう?」
内心の動揺を抑えながら勇牙が笑い返す。しかしこの状況になっては黒田を倒す以外の選択肢を探さなければならなくなったのだ。
(ますますもって・・・まずいな・・・)
碧がどう思っているかは置いておいて、勇牙は碧にホレている。その碧を売り渡す事は流石にできない。
だからと言って懲罰は受けたくない・・・ここに来て手詰まりになって流石の勇牙も途方にくれてしまった。

ハッタリだった。黒田は勇牙にペテンをしたのだ。
黒田は体は消せてもそれ以上、自然界の理には逆らえなかった。
だから勇牙を襲ったのも日が落ちてからにしたのだ。今は夜だから外に逃げれば、夜の闇が自分を隠してくれるが、学園内は明かりが灯っている。
しかし学園内で常にトップクラスにいる勇牙がそれをそう簡単に許すわけはない。
だからハッタリをかました。戦闘を避けるのは賢明な判断だ。
その企みは功を奏し、勇牙は黒田と闘いを避ける道を選んだ・・・
そうなると取れる道は一つ・・・できるだけ時間稼ぎをする事だった。

・・・一方、誠一はようやく夜栄との情事が終わり、夜栄の腕に抱かれていた。
別に抱かれている趣味はなかったが、激しすぎる情事に精魂尽き果てていたのだ。
「ふふっ・・・可愛いぜマコ・・・やっぱり俺の妻になってもらうぜ・・・」
「馬鹿野郎・・・俺は男だ・・・」
流石にその言葉に力は無い・・・やはり誠一と夜栄は気心の知れた仲であったし、『女』として気持ち良いセックスであったので満足している部分もあった。
「・・・生徒会だっ!・・・鈴木誠一に捕縛命令が出ている・・・大人しく来て貰おう!」
ノックと共に無粋な言葉・・・誠一は立ち上がり服を着ると夜栄に言った。
「やれやれ・・・多分茜の件だろ・・・行ってくるよ・・・」

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