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香港国際学園
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園 24

「とりあえず用件を聞こうか?」
御堂勇牙はなるべく動揺を見せないように、威厳たっぷりに聞いた。
「今泉姉妹のことよ」
主姫は唇を殆ど動かさず手短に答えた。目はまっすぐ勇牙を見つめている。
主姫の目はとても色素が濃い。彼女の目は黒いと言うよりも、暗黒といった方がしっくりくるだろう。
勇牙は彼女の暗黒の瞳に飲み込まれそうな感覚を覚えながら、ゆっくりと口を開いた。
「奴等がどうした?俺に何の関係がある?」
主姫は、これまた黒と言うより光沢のある漆黒の長い髪を掻き上げながら御堂に言う。
「今泉碧を匿ったと聞きましたが?」
その問い掛けに、図星を指された動揺を抑えながら御堂はにやりと笑う。少なくとも御堂勇牙は胆力においても一流なのだ。
「俺は他人の精液が詰まった後に女を犯す趣味はないもんでね・・・それよか、妹の方は生徒会長殿と同じクラスの電撃娘・・・鈴木マコってのが匿ったって話だがな」
本当は碧にホレてる御堂は匿うために拉致したのだが、そんな事は表にも出さない。
むしろ、自分の危機を回避するために誠一の名前を出した情報収集能力は流石であった。

しかし、それでも勇牙は落ち着く事は出来なかった。何故か。それは主姫の目のせいだ。あれは、あんなものは目とは言えない。あれは…そう穴だ。
深い、とてつもなく深い穴。どこまで行っても出口の無い穴。果てしなく続く穴。
果てしなく続く闇
きっとあの闇に飲み込まれたら、俺はもう戻ってこれないだろうな…
勇牙はそんな形のない不安に、潰されそうになっていた。
勇牙はそんな不安から、主姫から目を逸らした。
「あら、もうそんな情報も得ているのね。流石だわ」主姫は目線を外されたのにもかかわらず、特に気にした様子もなく、そう答えた。
しかし、勇牙はその言葉で夢から覚めた感じだった。彼はもう主姫の中の闇に足を踏み入れつつあった…
そして、さらに主姫が口を開く。
「貴方には無実を証明する機会をあげるわ・・・今泉碧を連れてきなさい。お目付けに黒田を付けるわ・・・」
黒田と呼ばれた少年が主姫に恭しく一礼をする・・・その少年は先ほど勇牙の後ろを取った少年であった。

渋々出て行った御堂勇牙を何の感情も無く見送った主姫は、暫くすると命令を下す。
「今泉茜と鈴木誠一を懲罰にかけます・・・連れて来なさい・・・」
その場にいる全員が恭しく一礼すると生徒会室から出て行った。
それも表情を変えず見送った主姫だったが、1人になると憂いを含んだ表情で大きな溜息と一緒に呟く。
「・・・本当に・・・あの子は・・・もうっ!・・・」

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